だいすけ

ブラッシュアップライフのだいすけのレビュー・感想・評価

ブラッシュアップライフ(2023年製作のドラマ)
4.5
面白いけどちょっと切なくもある。世代が被っているので、昔のことを懐かしく思い出しながら観た。こういう懐かしの物事や、人生におけるあるあるが凝縮されていて、共感を呼ぶのだろう。

見た目と精神年齢のギャップが生む笑いもあれば、バカリズムならではの器用な人間観察による描写で笑える部分もある。とにかく色々なバリエーションの笑いが散りばめられている。個人的には免許取り立てのみいぽんが、並走する大型トラックに緊張しつつ平静を装うシーンとか好き。

基本的には笑いどころが多いけど、時折ものすごく切なくなる。人生の周回を重ねるごとに、アサミの大元の人生が恋しくなる。彼女と同じように、仲睦まじかった時代の三人の姿に思いを馳せる。この感覚、いまの自分の人生でも在る。年を重ねるにつれて友人と会う頻度も減ってくる。もはや連絡を取らなくなってしまった人も多い。家庭や会社等において責任が伴うようになることが理由の一つだろう。ちょうど、アサミが友人を救うという責任を感じることで、やるべきことに追われ、結果として友人と疎遠になってしまったのと同じだ。何にも追わなかった自由な時代と、すでに疎遠になり「存在しなくなってしまった」友人たちのことを時折ふと思い出しては胸が苦しくなる。

それでも、アサミのように、思い立ったときが、本来の人生を取り戻すそのときだと思う。もちろん一人の大人として責任は負っているが、責任を果たすだけの人生はモノクロームのようなものだ。人生に彩りを与えてくれるものは人によって異なる。アサミの場合は友達だし、ある人には家族、ある人には熱中できる仕事や趣味かもしれない。いずれにせよ、有限の人生を自覚し、思い立ったときに行動することで、一周目しかない人生をブラッシュアップしていける。そう思って前向きになれるドラマだった。
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