現代の私たちが生きる労働社会への皮肉。
かつて労働は、修道士にとって神から与えられ祈りとともに行われた。
時とともに労働は世俗化され、近代以降は労働それ自体が目的化する。
勤労そのものが神聖視される社会。
それが、今のこの社会であり、主人公たちの生きる日常だ。
登場人物たちは、創造主ならぬ創業者のマントラを手元におき、「社員」として割り当てられた職務に、一心に打ち込む。
企業という見えない「神」のため、ひたすら勤労に身を捧げるのである。
その仕事に意味はない。ひたすら画面上の数字をいじくる作業の繰り返し。
ご褒美のカップケーキを目当てに今日もパソコンで画面をイジイジ。
これこそ私達の多くが日々「仕事」と呼び尊んでいるものなのだ。
よく考えられているドラマ企画。
この労働社会を考える上で鋭い視点をもたらしていると思う。
「守秘義務」を盾にとった労働者の心的な主体化=服従化システム。
あえて難をいえば、展開が少しトロい気がする。
視覚演出が美しい。