良質なフェミニズム作品を目指したのだろうけど、ちょっと思慮が足りないと感じた。
社会啓発のため、トランス女性を積極的に表象するのはよい。
しかしその扱い方が安直すぎて、逆に現実社会の問題を隠蔽してしまっていると感じた。
トランス女性の修道女が海辺で「洗礼」の儀式をうけてパワーを出せるようにするシーン。
パワーを放出することができるのは、首元にある器官をもって産まれた人だけの設定だったはず。
だとすれば、「パワーをもつ女同士が連帯しよう」となったとき、排除の問題を経験するのが、そうしたパワーを出せる身体器官をもたないトランス女性だろう。
実際に現実では、「女同士の連帯」のスローガンのもとで排除されてきたのがトランス女性。
それをないこととして描かずにおくのは、悪質と言うか能天気だと感じた。
あとアジア人のキャラ表象も酷い。
ぜんぶ最後の方は死ぬか遠くに追いやられるモブキャラ。
黒人にたいしては配慮するけど、アジア人にたいしては相変わらず雑。