ゆ

ウータン・クラン:アメリカン・サーガ シーズン1のゆのレビュー・感想・評価

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ウータン・クラン結成までの軌跡を辿るドラマ。シーズン1ではまだ結成まではされず、最終話でようやく話が動く。

ドラマなので"ストリートのリアル"がかなり丁寧に描写されていてそれがとても好印象。映画の尺だったらよくあるギャングものっぽくわかりやすく派手になりそうなところを、登場人物それぞれの境遇、そしてそこでの葛藤がきちんと描かれている。

特にRZAの妹のシュリーの描き方がよくて、彼女はシングルマザーである母親が働きに出ているため料理や洗い物などの家事を高校生ながら担わなくてはならなかったりと、ドラッグ売買の裏での女性のケア労働も描かれているために、黒人の職業の選択肢のなさや貧困、断ち切れない虐待の連鎖がよりリアルなものとして映し出される。
貧困家庭に生まれた黒人である以上はギャングになるしか家族を養う方法がなくて、女性は男性を頼るしか生きていくすべもなくて、だけど少しのミスでドラッグの販売や強盗や殺人の罪で収監されてしまって、その子どもたちもまた同じ道を歩まざるを得なくて…という繰り返しなのだなと。
あとシュリーが家族からもつらさを理解してもらえずデニスとの関係も微妙なときにブロードウェイへ芝居を観に行くのめちゃくちゃいいなと思った。

RZAの兄であるディヴァインがめちゃくちゃかっこよくて、長男として家族を養う立場として多くの苦労をしてきて、出所したあとはあんなに有能で賢いのに清掃の仕事までしてお金を稼いで、それでもRZAの音楽の夢を最終的には認めたの人間が出来すぎてる…と思った。

あと障がいのある弟を介護しつつアルコール中毒の母親の面倒も見ているデニス(GFK)が、自分も家族をケアする立場だからこそシュリーも家族の犠牲になっていると気づいてあげられたことが恋の始まりなの、素敵と思った。引っ越しのときに手紙をひそかに書いてたりね。成功してから女遊びしまくるぜとか絶対ならないでねデニス!

少林寺ヘアバンドほしい〜
ゆ