このレビューはネタバレを含みます
社会に、自分に絶望した男が冒頭で起こす行動から引き込まれた。暗闇の中から蜘蛛の糸のようにかすかな光を見せてくれたのはテレビで紹介された蟹だった。蟹のために彼が取る手段がまた滑稽で悲しい。東京から北へと進路を取る。常磐自動車道に入り東北自動車道へ。
逃避行、不倫旅行、ご当地グルメ、懺悔へのドライブが一体となって40分ドラマとやや長めでも気にならない内容だった。入山法子さんが雪女のように佇んでくれて北へ行くにつれ美しさが迫力を伴って増してくる。北海道編で出会うマリア(久保田紗友)とのエピソードが好き。
眉間に皺を寄せてばかりの重岡さんには飽きるけれども本作には相応しい配役でした。蟹料理が目前に迫ってきたと感じた時の寂しさよ。
主題歌「星の雨」が流れるオープニング映像は作品を象徴したドラマ史に残る可笑しさと美しさが同居してた。殿堂入り。