きゅうげん

ウェンズデー シーズン1のきゅうげんのネタバレレビュー・内容・結末

ウェンズデー シーズン1(2022年製作のドラマ)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ティム・バートン謹製アダムス・ファミリー!
ネトフリ資本の質感ある舞台や、偏愛性の垣間見えるデザインセンス、吸血鬼・ゴルゴン・人狼・セイレーンというキャラ造形に、そんな“のけ者”たちの細やかなドラマなど、バートン趣味が色々と全開です。
とくに校名や校章、学校行事からセリフまで、いたるところでエドガー・アラン・ポーが顔を覗かせ、も〜口角上がりっぱなし。

ただ、物語の組み立て方は煩雑さが目立つし、学園内や町内の人間関係の機微も親切設計ではなく、なによりミステリー要素がかなりボンヤリしてる印象。
父母の学生時代の事件とか、保安官親子の過去とか、そこにキーマンがいるのに聞けない・答えない→ウェンズデー自力で捜査・推理(+だいたいハズす)……という構図は、ただただ遠回りしてるように見えてサスペンス感が希薄です。ミスリードもオーソドックスに想定内で、勘違い・すれ違いが尾を引くばかり。
それに、対立軸として「住民→文字通りの“ピルグリム・ファーザー”」と遡った敵設定や、血族の因縁みたいなところに落ちついちゃった物語の構図はモヤモヤします。グッディもクラックストーンも「ここであったが100年目!」みたいなノリだったけど、江戸の仇を長崎で……感が否めず。
映画版『アダムス・ファミリー2』のブラック・ユーモアくらいならさもありなん、センシティブな素材をメインテーマとして組み込むとなると、難しくって注意も必要で……。

しかし、それらを差し引いても魅力的なのは、バートン作品らしい“のけ者”への讃歌。
とくに参観日と誕生会の2エピソード。
ウェンズデーとモーティシアは勿論のこと、イーニッドやビアンカの繊細な親子関係や、事態の肥大化にともなった友人関係の揺らぎなど、緻密で説得力があるドラマ性は地に足がついていて、担当したガンディア・モンティロ監督の作劇力に脱帽です。
キャラクターたちの愛くるしさもたまらないですね。
天真爛漫だけど思春期なイーニッド、高飛車お嬢様だけど脛に傷あるビアンカ、マイペースなナイスガイのエイジャックス、健気な不幸体質ぼっちユージーン(←バートンそっくり)などなど。
個人的には、芸術家タイプのボンボン・ゼイヴィア&純朴な田舎青年タイラーが時々みせる、気まずい恋敵感が好きでした……。

これはFA漁らざるを得ないタイプの作品ですね。もう第2シーズンがたのしみ!
(今回は事件がデカすぎたので、2期目は学園もの感がUPしてくれると嬉しいな……)
あと、まさか「THE END?」オチを令和の作品で見られるとは……。