きゅうげん

FARGO/ファーゴ:カンザスシティのきゅうげんのレビュー・感想・評価

3.8
アメリカの歴史は移民の歴史。裏社会も例外ではなく、ここカンザスシティを牛耳るギャングはユダヤ系→アイルランド系→イタリア系→アフリカ系と移ろってきた……という、ある女子高生のレポートの体裁をとるシリーズ第4弾。


ギャング抗争というメインストーリーに「『ファーゴ』じゃなくてよくね?」と鼻白んだものの対立勢力双方の内幕の機微や、サイコ看護婦とか脱獄犯とか葬儀屋一家とか刑事コンビとか、展開に絡むサブプロットはどれも充実していて、とくに終盤2話はナンセンスだけどちょっぴり苦い“ファーゴ”感が強くて目を離せません。

(まぁ、担当監督の異なる第9話については、裏切りを重ねるラバイと組織をそれぞれ代表する暗殺者カラミータ&スパークマンとの巴戦ながら、それがまさかの竜巻襲来……というオチで、“ファーゴ”的な破局的展開ってそういうことじゃなくない?って感じも。手に余る濃いキャラたちを雑に片付けたって印象……。
てか、この第9話だけ『ファーゴ』ってよりもリンチ作品っぽいんすよね。看板のくだりとか冥王星のくだりとか)

しかしとにかく、ファッダ兄弟の可愛い悲哀っぷりとか、ジェシー・バックリー扮する今回の狂人枠とか、偏愛ポイントも個人的にはシリーズ屈指。強引にシーズン2と紐づけたのにもニッコリです。