夏藤涼太

大奥 Season2の夏藤涼太のレビュー・感想・評価

大奥 Season2(2023年製作のドラマ)
4.4
#Season2 1話(11話)
まさか篤姫に福士蒼汰を当てるとは……天才のキャスティングか

青沼が村雨辰剛なのは(キャストが発表される前から)想像通りだったから、安定した演技だったな
しかし平賀源内が元気にはしゃいでる姿を見るだけで涙が出てくるよ……

#14話
医療編(大嘘)
平賀源内が繋いだ村の命にうるうるしてたのに、最後の仲間由紀恵が怖すぎて泣いたわ。

「男が政を語るではないわ!〜男など、女の力がなければこの世に生まれることもできない出来損ない。できることといえば、乱暴と種付けだけ。そんなクズを増やしてどうするのだ!」のパワーワードっぷりも際立っていた。キャスティングした人の慧眼よ

#16話
家治編〜幕末編までを1クールでできるわけがないと思っていたし、実際、原作から珠玉の名エピソードがカットされまくりなのだが、まぁ面白い。今回はオリジナル展開多めだったが、たった45分で阿部正弘と家定の関係性をここまで完璧に描き切るとは。森下佳子はじめ、NHK版大奥のスタッフ、あまりにも優秀すぎる……

しかし「情事を感じさせる物音と声」とかいう迫真のテロップよ。治済卿の呪われた血、あまりにも濃すぎる……
古川雄大は、瀧山をやるために生まれてきたんじゃないかと思うくらい、ビジュアルが完璧すぎる

#19話
今週も泣いてしまった…
家茂は原作の中でも特にお気に入りのキャラだっただけに、最初は新人か、素朴すぎないか?と不安だったが…今週分を見てびっくり。まごうことなき家茂様ですわ。ラストの上洛シーン、美しすぎて痺れたわ…キャスティング完璧すぎる

篤姫輿入れ〜和宮降嫁〜無血開城までの流れは、マジでフィクションとしての発想力と四実との絡ませ方が天才的すぎて、よしながふみの怪物的なセンスを堪能できるんだけど……
しかし何よりも、作者のアンチ徳川慶喜っぷりが目に見えてわかるのが面白いよね。ドラマ版では、尺ないからそこまで慶喜の話はやらないと思うけど

#21話(最終話)
大奥の男たちと一緒に男泣きしちまったよ……。
わかってはいたけれど、涙がこぼれると同時にゾクゾクが止まらない、最高のラストシーンだった。シナリオもキャストもいいが、音楽も秀逸だわ。
ありがとうよしながふみ、そしてNHK……

シンプルな架空ラブロマンス時代劇の前半も恋愛漫画として素晴らしいんだけど、後半の、架空SF歴史漫画路線も最高に面白いんだよな…
なるほど、江戸城無血開城が成ったのは女将軍の歴史があったからなのかと思わず納得してしまうほど。
よしながふみ、その才能、恐るべし……
そして篤姫の捏造写真を成立させる、福士蒼汰のお顔の美しさ、恐るべし……

シーズン1は珠玉の名エピソードをいくつもカットしているし、シーズン2はダイジェスト感があり、正直もっと余韻がほしかった。本当に、3クール、いや大河ドラマ枠でやってくれたらどれほどの僥倖だったことか。
そうした不満は、ないではない。だが、それでもなおこれだけの面白さを誇っていたのは、NHKと制作スタッフ、そして名優たち が原作とその魅力を丹念に読み解き、ドラマとして最適な形でアウトプットしてくれたからだろう。

……いや、それでもやはり、いつか待ってますよ。大奥完全版を。
夏藤涼太

夏藤涼太