いけ

作りたい女と食べたい女のいけのレビュー・感想・評価

作りたい女と食べたい女(2022年製作のドラマ)
3.3
料理を作りすぎてしまったからお裾分けしたいという必要性から生まれた関係が、徐々に一緒にいると楽しいから一緒にいたいに変わっていくのが見ていて心地よかった。
その関係性の変化に連動して、プリンや風邪を引いた時のうどん、お祝いのローストビーフや手巻き寿司と、料理も必要性から生まれるものではなく、相手と楽しみたいから、相手を大事にしたいから作る料理に変化していくのもいい演出だった。

春日さんが幼少時代に女性という理由で、思う存分に食べられなかったことと、
野本さんは好きで料理をしているのに、性的役割の考え方に押し込められてしまうことが、
全く違う方向から食というテーマでジェンダーの問題を感じてきた2人という描き方も、よくできていると思った。

ただ女性同士の恋愛描写として、もう少し踏み込んでもいいのでは?と思った。
別に性的な描写やキスシーンを求めているのではない。
むしろそういう消費されてしまうような描写は避けるべき。
だけど、あまりに恋愛描写があっさりしすぎていて、野本さんがどういう風に自分の感情と向き合うのか、それに対して春日さんはどんなリアクションを取るのか見たかった。
原作の漫画だとどうなのだろう?

女性同士の恋愛を扱ったドラマとして批判はされないだろうけど、絶賛はされないだろうなというあっさり感が少し残念だった。
2022年の日本のドラマとしては、これくらいが限界なんだろうか。
いけ

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