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すいかのkoheiのレビュー・感想・評価

すいか(2003年製作のドラマ)
4.6
木皿泉脚本、2003年の夏に日テレ土曜9時枠で放送されていた『すいか』。先進的なドラマだった。先進的というか、普遍的というか。普遍的もちょっと違う気がするけど、つまりは2021年に同じ枠で放送されても話題になるだろうと想像できるくらい脚本が鮮やかだった。登場人物はほぼ女性で、彼女たちは結婚とか恋愛とか普通とかお金とか成長とか、おおかた“社会性のある”とされてきた行為に縛られない生き方を志向しようとしていた。彼女たちが大事にするのは、生活であり思いやりであり、友だちであり好きな人であり自分自身だった。社会から外れゆくことの寂しさを抱えながら、そんなこと気にしないみたいにハツラツと共同生活をしている。銀行員の小林聡美に、エロ漫画家のともさかりえ、大学教授の浅丘ルリ子に、大家の市川実日子。ちょうど『大豆田とわ子』第4話で市川実日子が恋愛に囚われない生き方がしたいと言っていたけど、それははるか18年前のこのドラマにすでに実現しているようだった。彼女たちには彼女たちだけの生き方があった。
最近読んだ『白木蓮はきれいに散らない』(最高漫画です)なんかも重ねたけれど、生活ってよくも悪くも圧倒的で、生活は素晴らしく、それでいて虚しく、けっきょく生活を楽しむほか人生は…なんてことを軽々しく書こうとしてしまうくらい(いや、正しいのだけど怖いだけ)、生活ってすごいよなって、そんなことを考えたのでした。

書き直した。
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