タキ

麒麟がくるのタキのレビュー・感想・評価

麒麟がくる(2020年製作のドラマ)
4.0
主君殺しとして歴史に悪名を残す明智光秀を主役に据えるというチャレンジに1年間(プラスα)楽しませてもらった。前半は光秀自身の資料の少なさゆえに苦戦している感じがしたが、後半は解釈の妙に唸ることがたくさんあった。さらにキャスティングもなかなかのチャレンジで丸顔の信長は初めて見たし、デカくて猿顔とは程遠い面長の秀吉にはどうなるのかと固唾を飲んでみていた。みなさんさすがの演技力。従来の時代劇よりも血の通った人間臭さに納得することしきりだった。主演の長谷川さんは持ち味の清廉な美しさが見事に活かしきれていて代表作というに相応しい作品になっていたと思う。
最終回、光秀の謀反と聞いて「是非もなし」と言った信長の笑みはこのために44回を見てきたのだと思えるほど 2人の関係性の集大成として素晴らしかった。
麒麟は来たのかどうなのか。どちらともとれる結末は苦しい世の中でも人間の夢見る力だけは誰にも奪い取ることはできないとのメッセージのようにも感じた。十兵衛は生きていてまたいつの日か麒麟を連れてやってくる。私は物語の力を信じようと思う。
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