クラリス

季節のない街のクラリスのレビュー・感想・評価

季節のない街(2023年製作のドラマ)
4.2
宮藤官九郎が描く、東日本大震災から12年経ってもなお仮設住宅で暮らしている人々の物語。
クドカン節炸裂でコメディーのように描かれてはいるんだけど、この世の闇を集めて煮詰めたみたいな人たちのお話だなと思いました。

以下ネタバレあり



前半こそ池松壮亮の飼い猫を皆川猿時が演じていたり、MEGUMIと高橋メアリージュンが当たり前のように旦那を交換して生活していたりと、違和感の中にコメディー要素をたくさん感じられたものの、後半はもう言葉に出来ない不幸をたくさん突き付けられている感覚でした。

中でも叔父に妊娠させられる三浦透子と家族に捨てられる仲野太賀だけはどう考えても報われない。
『親ガチャ』ってあんまり良い言葉だとは思わないけど、こういうの見ちゃうと生まれや育ちで人生が変わってしまうのってどうしようもない気がしてしまう。
無の表情で叔父のなすがままにされている三浦透子と、どんなに頑張っても大好きなお母さんに嫌われていくばかりの仲野太賀の姿は、見るのが辛い…というか見ていて絶望と虚無感しかありませんでした。

ホームレスの男の子もそう。
あんなに純粋で賢くて健気でお父さん大好きなのに…こんなことってある?
しゃべり相手がお父さんしかいないから延々架空の家の話に付き合ってあげてたんだろうけど、もし学校に行ってたら同年代の子達ともっといろんな話題で楽しめたんだろうな…と思うとやるせない。

しかしキャストが本当に豪華なので、彼らの演技合戦だけでも一見の価値がある。
仲野太賀はやはりどのドラマでもインパクトを残す演技をするし、渡辺大知や又吉も良かったです。
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