ろう者が関連する事件の真相を追う手話通訳士を描いたスペシャルドラマ。
ろう者やコーダを描く作品は、恋愛モノかやたら泣かせにくる人間ドラマがほとんどだが、本作はミステリーなので娯楽性が高く、構えることなく観ることが出来る。
本作最大のポイントは、ろう者の俳優や演技経験のないろう者が多く出演していること。何でもかんでも当事者が演じればいいとは思わないが、そうした試み自体は支持したいし、むしろ日本でこれまでそうした作品がほとんど作られてこなかったことが不思議。ろう者が演じる場面は、聴者には出せない圧倒的な迫力とリアリティがある。
「ろう者にはろう者の世界がある」と劇中で触れられている通り、ろう者と聴者の間には大きな隔たりがあるのだろうが、普段なら気になって仕方がない過剰な説明台詞や全編に付与された字幕から、「ろう者に徹底して寄り添いながら、聴者も同じように楽しめる作品を作る」という作り手の強い決意が感じられ、心底感動した。
是非シリーズ化していただきたいし、U-NEXTでも見られるので多くの方に見てほしい。
素晴らしいコンセプトの作品であっただけに、社会的弱者としての"女性"の描写が雑であったことはとてもとてもとても残念。尺の問題もあるのだろうが、脚本は女性なのに…
とか書くと、オレが意識の高い人間みたいだがそれは違う。
世の中の意識が低すぎるのだ。
