1話目を観た時は、「野木さんだし、まあ普通に面白い」くらいの感じだったが、どんどんとんでもないことになっていき、終わってみたら人生ベスト級の大傑作だった。
TVドラマでこんなに泣いたのは、生まれて初めてかもしれない。
いろいろと書きたいことはあるが、あまり書くとネタバレになってしまうし、なるべく何も知らない状態で一人でも多くの方に見ていただきたいので、騙されたと思ってとにかく見てほしいということだけ伝えたい。
と言いつつ、やっぱりちょっと書く。
時計の針は元には戻らない。
過去は海よりも深い心の奥底で思い出となり、想像力によってダイヤモンドの輝きを放つ。美化された思い出は、語られることで虚構となる。
虚構が自己ではなく他者のために採掘される時、それは他者を救済し得る。虚構が他者ではなく自己のために採掘される時、それは自己を救済し得る。
人の数だけ無数に存在する虚構の中で、全ての人間が主人公にも脇役にもセリフのない端役にもなり得るのだから、意味のない登場人物などいない。
だから希望を持って生きよう!と思えるほど、現実は甘くない。
けれど、人のいなくなってしまったあの島にも、自分と同じような人たちが確かに生きていたのだと想像出来るだけの力があるのなら、それはこのクソみたいな世界をほんのごく僅か良い場所に変える何かになる、のかもしれない。
自分次第で。