なんか凄いもの見たな。
複数の宗教2世当事者や家族の実体験を基に描かれている物語。
NHK宗教2世シリーズで第一弾はドキュメンタリーでしたが未見。というかあえて見なかった。ドラマの方が届く事もあるよね。
ことの始まりはやはり貧困なのか、と思うとやり切れない………と同時に教団がその受け皿として機能している事に複雑な気持ちも。
親の信仰に強制的に付き合わされる子供たちは、〝気づき〟もない。ダメなものはダメ、と選択肢もないままに強制的に思考停止させられる。
〝信仰の自由〟がチラついて周囲の人間も手を出しにくいのが宗教問題の特徴。そして親思いで真面目な子ほど親の言う事を聞き世間から遠ざかってしまう。
それでもいずれ気付くことが出来れば良い方だと思う。その先の回復は大変だろうけど、自分を取り戻せる、自分で選択出来るようになる事は一つの権利を取り戻す事。
宗教が、信仰が、その権利を踏み躙ることはあってはならないのだから。
当事者に届いて欲しいドラマでした。
演出が柴田岳志。さすがです。
脚本にも携わっているし。
『透明なゆりかご』『今ここにある危機と僕の好感度について』『空白を満たしなさい』と、この人の映像作品を私はかなり信頼しています。
そして今回もかなり攻めていて、誤魔化すことをしない。
宗教を題材にしたドラマは民放では無理でしょうね。どうしてもあれやこれやと団体の存在が人々の頭の浮かぶので、スポンサードの関係ではおっかなくて掘り下げるなんてことは出来ないでしょう。
だからこそNHKが大きな役割をしっかり果たしたこのドラマは、宗教2世当事者のみならず多くの人に届いくのではないかな〜と。
とにかく多くの人にその存在を知ってもらい、少しでも多くの手が差し伸べられるようになれば良いなと思います。
そして攻めているもう一つの点は、主人公遙(河合優実)の罪悪感を解き放つ男、〝ご主人様〟神岡の存在。
ギョッとした方も多いのでは?
緊縛師の存在はかなりなインパクトで、この発想は普通じゃ〜なかなか………。
ひょっとしたら意外にもこの点は事実に基づいているのではないか………と思ったり。
中村文則の小説『その先の道に消える』では、その道の思想?哲学?が描かれていて、ドラマを見て真っ先に頭に浮かびました。単に淫靡な世界観で捉えては勿体無いですよ。
そこで渋川清彦………です!
彼の存在感が凄かった。ほんのちょっとの短い時間の出演ですが、彼が演じた神岡の神々しさと慈愛に満ちた表情に思わず魅入ってしまいました。すっご〜い。
吹越満の怪しげなおじ様も絶品。
圧巻は河合優実。
全編に渡り、いや特に神岡とのシーンを見ていると、もう只者ではないって思ってしまった。この所色々な作品に引っ張りだこでその振り幅は半端じゃないですもんね。
今後も目が離せない。
森山未來と田中麗奈は、いつの間にやら、疲れ切った親の役が似合うようになってちょっと寂しいですw
妹役の根本真陽も良い役者だな〜あまり記憶になかったけど彼女のドラマは結構見てました。しっかり覚えとく!
遙の幼馴染役の杉田雷麟(らいる)は映画『半世界』で注目したんだけど、すっかり大きくなって〜(涙)
萩原聖人と酒井若菜の宗教家夫婦は妙に説得力があったなw
他にも大好きな役者さんがてんこ盛り〜
和田光沙 工藤遥 尾上寛之〜
宗教考証 川島堅二
緊縛指導 堂山鉄心
この二人の存在は大きい。
こういう所ちゃんとしてて嬉しい。
NHK、GJです!