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お別れホスピタルのカーネルのレビュー・感想・評価

お別れホスピタル(2024年製作のドラマ)
3.8
第1話冒頭、車内から見る明けゆく海の色がとてつもなくきれいで、心惹かれました。

きれいだな

海岸で歩(岸井ゆきの)が出会った本庄さん(古田新太)のこの一言が沁みます。



タイトルからも分かるように、終末医療を中心とした病院での物語。辛い内容は想像に難くないのに、それでもドラマ『透明なゆりかご』(Filmarks始める前だったか。レビューしてないや。大好きなドラマなので4.0は間違いなくつけたいところ)と同じ原作者沖田×華と、ほぼ同じ制作スタッフが再タッグとあらば見てみたいと思ったのです。
それに全4話という長さなら、耐えられるかなと。

それでも、結構ショッキングなシーンもあり、見る人は引っ張られないようにしないと。

一晩に何度もエンゼルケアをしなければならないような医療現場を極端なセンチメンタルを混ぜないで真摯に扱っていました。
一人が亡くなると、またすぐに一人入ってくる日常………
明るいキャラの患者を古田新太、きたろうに委ねたのが凄いな。
明るさの裏の辛さが増幅されてショックな事もありましたけど。
古田新太にはやられたな。

高齢者に限らないケースも取り上げ、患者だけではなく寄り添う人達にも、ケアをする側の人達にも、見ている我々にも〝人と死〟を突きつけてくるのは、正直しんどかったな。
夫婦の在り方も考えさせられて、こちらも複雑な気持ちになりました。〝愛は残酷〟だよ。

個人的に経験していると、どうしても思い出して、ああすれば良かった、こうすれば良かった、あんなやり方もあるのかとか、複雑な心持ちになります。
それでも、あの現場にいる人達には感謝しかないから、こういうドラマでもいい、彼らを、彼らの仕事を知ることは意味があるよね。



キャストの皆さんも、そのキャラだてもうまかったなぁ。

岸井ゆきのと松山ケンイチの焼き鳥屋での会話が、ほっこりニヤニヤでした。

すっぴん、というか自然な肌艶の感じ、特に小野花梨と筒井真理子のあの感じはリアルだった。二人の芝居は似てるかもしれない。

内田慈と丈太郎の親子芝居も迫力があった。二人とも癖のあるキャラが本当に上手い。

いい年した引きこもりを演じた平原テツも色んなところで独特な雰囲気を様々に使い分けて名バイプレイヤーですね。

患者さんを演じた多くの役者さん達も皆さんお見事でした。

あととても印象的なCharaのシャウトが涙を誘発させるので困りました。いい曲。

劇伴の管楽器?は『透明なゆりかご』を思い出させますね。
優しさと哀しさの音色。


遺体を乗せた車を
深々とお辞儀して見送ってくれた医療従事者の姿を思い出し、また忘れられない思いであります。

こういうドラマを知っているのと否とではきっとこの先々に何か違いが出てくるかもしれないな。
(全ての映像作品や書籍に言えることだな。(笑))

〝私たち頑張って生きてますよね〟と言えるような日々を送ることを少しは心がけようかな
(笑)



どうやって死ぬんだろう
思うようになんて死ねない
死ぬって怖い?
死ぬってなんだろう

死ぬってなんだろう………
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