少し前に職場が東京の品川区五反田近辺だったことがあり、目黒川のほとりにオフィスビルが立ち並ぶ中で場違いに感じるぐらい木が生い茂っていた料亭風の建物があったのを覚えています。
その場所こそが、大手企業が50億円以上も騙し取られてしまった地面師詐欺事件の舞台となった古い旅館。馴染みのある場所だったからなおさら事件のことを覚えていました。“地面師”と言う言葉自体を知ったのもきっかけはそれかな。そして本ドラマはその事件をモチーフにしたのだそう。
地面師とは、地主などになりすまして売却をもちかけ、多額の代金をだまし取る不動産をめぐる詐欺師。東京オリンピック開催に伴う地価上昇で、地面師被害が増えたとのこと。
法律担当、情報収集担当、偽造書類作成担当などなどの高度な犯罪テクニックを身につけたエキスパートたちが各々の得意分野を鮮やかにこなし、不測の事態に対しては見事なチームワークで危機を乗り越え、悪事を成功させようとするところが本作の見どころかな。緊張感が途切れず、テンポは良く、飽きさせない展開がよかったと思います。
一方で、“己の利益が一番大事”なアウトロー集団なので、仲間であっても信用しすぎると足元をすくわれる。この不安定な繋がりが全体へのスパイスになっていて、サスペンスフルで予測不能な緊張感を味わうことができます。
キャストも豊川悦司、リリー・フランキー、ピエール瀧、小池栄子などなど実力派の俳優がズラリでしたが、そんな中でアントニーがいい味を出していました。下っ端役なのに、彼がいることでドラマの世界観が広がってる気がします。
それにしても騙された企業の担当者が嘆く姿は見ていて心が痛いです(ドラマとしては面白いんですがね)。