ふじこ

名探偵モンク シーズン8のふじこのネタバレレビュー・内容・結末

名探偵モンク シーズン8(2009年製作のドラマ)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

最後まで面白かった。
ジャケットのオジサンとなんとなくの雰囲気だけで、配信終了リストになかったらまず観ようとは思わなかったけれど、実に良かった。
ミステリーとしてはモンクの超人的な観察力・記憶力頼みのものが多いのでそれらが目当てだと全く適していないけれど、コメディ一辺倒ではない為バランスが取られていてサラっと観てサラっと流す、そんな作品だった。

モンクに関してはコメディ部分の殆どを担っており、更に金払いが渋く、常識に欠け、非常に差別的でかなり酷い人物に描かれているけれど、情に厚い処や一度信じた人を信じ抜く処、とにかく押しに弱い処なんかは思わず可愛らしいと思ってしまった。

一番好きだったのはリーランド・ストットルマイヤー警部。演じるテッド・レヴィン氏の口髭も声も好きだし、S1辺りまではまだモンクの推理力に嫉妬したり非常識な部分で迷惑を被る為冷たかったけれど、割と直ぐに親友兼保護者みたいな立場になっちゃう。苦労ばっかりだけれど面倒見も良くて、最終話のモンクとのやり取りはお互いの強い信頼が現れていて特に良かった。
妻トゥルーディを殺した犯人を遂に突き止め、必ず裁判を受けさせてやる、と言う警部。
M:それまで 持たない
L:諦めるな 頑張らなきゃダメだ
毒物を摂取され病床のモンクは警部にお願いをする。
M:リーランド あの男を殺すと約束して
L:分かった、殺そう 約束する 裁判なんて受けさせない
M:嘘つき
このやり取りが非常に良かった…。
殺して、とお願いされた警部が一瞬だけ言葉に詰まるけれどすぐに約束すると言ってくれて、それに対して少し笑いながら嘘つき、と返すモンクの間にある二人だけに出来る会話、良かったなあ。生涯の親友いるじゃん、モンク。

助手はやっぱりシャローナが良かった。むちゃくちゃモンクを引っ張って、厳しくて、でも心から案じているのが感じられて。息子も可愛かったし。
このシーズンで1話だけ戻ってきたけど、やっぱり良かったなあ。謎に派手な服と、練習の為に無理やりエレベーターに乗せたりして。
ナタリーは登場した次のシーズンからどんどん嫌いになってっちゃった。

ディッシャー警部補も、やりすぎ。もうどうやってその階級まで上がったのかも分からんレベルで知的に問題がありそうな感じになっちゃって残念。空気読めないのはモンクもそうだし、ちょっとバカっぽい推理を披露したり、とにかく警部が好きなおっちょこちょいな感じの最初の方のシーズンのが良かったなあ。

唯一解決出来なかった事件としてトゥルーディの死と言う一本芯があって、枝葉にちょっと関係した事件があって、後は日常の事件。
この構成で枝葉の事件がもうちょっとあって、トゥルーディの事件の真相がもうちょっとちゃんとしていればなあ。
制作も出来るだけ長くやって稼ぎたいのはよく分かるからなんとも言えないし、日常系をダラダラ観るのも楽しいから本筋だけやれとは言えないけれど、たった2話だけで10年以上引き摺った愛妻の真相がね…。
そして父親ではないのにトゥルーディの娘と言うだけでめちゃくちゃ粘着しているのが養父母からしたらどう思うんだろうか…って処。
S8丸ごととは言わんでも半分くらい使ってもうちょっとちゃんとしたミステリーとして最後の事件をやってくれても良かったんじゃないかなって。

コメディで笑う事ないし、なんなら観てる自分に冷めてきて非常に苦手なジャンルだけれど、久し振りに完走出来て、更に面白くて良かった。食わず嫌いせずに最初の数話で吟味するのもありだなー
ふじこ

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