このレビューはネタバレを含みます
映画として実写化されたときから登場人物や設定の気持ち悪さは感じつつも、それが作品としては妙に面白くてクセになる感じ。この作品の特に1話で取り扱われているような気持ち悪いことは、こういう機会を得るたびに気持ち悪いと再認識することが大切だと思っているので、そういう意味でも個人的には見る価値がある。
板垣李光人って美しすぎるなと前から思っていたのですが、かわいいキャラクターや綺麗なキャラクターを演じている時より、こういう風にきっちりとしたキャラクターを演じている時のほうが顔や佇まい、言動の美しさをより感じる。これからもいろいろな作品で板垣李光人にしか演じることのできないキャラクターがたくさん生まれるのだろうなと、つい想像してしまいます。
岡部警部は刑事としても、人としてもすごい。第九の存在が認められなかったのは、刑事としての価値あるプライドを持っていたから。それに見合う仕事をしてきたからだと思う。そんな人が、第九や室長の素晴らしさをすぐに認め、目撃証言や状況証拠がいかに曖昧かということをすぐに受け入れた。なかなかできないことだと思います。
2話はとても考えさせられる内容でした。殺人はいけない、殺人者になってはいけない、ということだけは明白です。なので、コンビニ店員の彼(被害者)目線で考えたとき、私たちはどう在るべきか問われると難しくなる。彼は常に優しく、正しかった。彼がやったことは決して悪いことではなかった。けれど、妄想と虚構の中で生きている彼女(加害者)にとってそれは互いの死に値すること。自分のやる行いが100%善意で、100%正しくても相手のためになるとは限らない。相手は絶望するかもしれない。私たちは行動する前に一度立ち止まるべきなのです。しかし、コンビニ店員の彼も薬を渡す前に何度も悩んだのだと思う。その結果があれであるならば、彼は、私たちはどうすればいいのだろう。
そして3話で明かされた鈴木の行動の真意。ついつい思い詰めてしまう薪にとって、貝沼が28人殺した動機が自分へのプレゼントなんて分かってしまったら、耐えられないと思って選んだものだった。鈴木の友だち想いという言葉では収まらないほどの薪への愛情、貝沼の薪に対する異常なほどの愛情。同じ愛情でも、ここまで違うものかと鳥肌が立つような感覚でした。