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芋たこなんきんのmendeのレビュー・感想・評価

芋たこなんきん(2006年製作のドラマ)
4.1
はぁ、面白かった。
朝ドラのヒロインは若い人が多いけど、今作は初登場の時点で37歳。たまには中年の主人公もいい。そもそも高齢化社会なんだし、需要はあるんじゃないかと思う。
原案になっている田辺聖子のエッセイが面白いのもあると思うが、それぞれのエピソードがおかしく、楽しく、味わい深く、リアルでもある。
夫になる健次郎さんだけでなく、きょうだい、子どもたち、両親、ご近所さん、編集者、秘書、看護師、作家仲間など幅広い人々の話が、重層的に展開していくのが深みがあった。
少女時代の戦災、夫の看取りなど深刻な話もあったが、基本的に主人公が明るく、楽しいことに対して貪欲。藤山直美のコメディエンヌぶりもさすがだった。

基本的に鷹揚な主人公だけど、「女のくせに」みたいな言葉には猛反発。こども川柳大会での不正には目をつぶらないところなど、信頼できるヒロインでもある。
ただ、芥川賞(直木賞じゃなかったのだ…)を受賞した売れっ子作家なのに大家族の家事一切を取り仕切り、夫の家事参加は全くなく、しばしば徹夜しているのが気になった。まぁ、昭和の時代だから仕方ないのかな。

実は本放送のときも欠かさず見ていたのだけど、それ以来田辺聖子作品を読むようになった。このドラマの主人公と同じく、好きなことが増えるというのは人生が豊かになるのだなぁと実感した。

好きな朝ドラが終わってしまってさびしいけど、来月から始まる朝ドラが楽しいものだといいなぁ。
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