アマプラで視聴。アメリカのテレビドラマ黎明期を代表する活劇西部劇。戦後の日本でも「ハイヨー、シルバー！」や「キモサベ」などの台詞と共に親しまれていたみたい（自分も子供の頃にお馬さんごっこで親父から「ハイヨー、シルバー！」を教わった）。
どちらかと言えば低年齢層がターゲットで尺も20分ちょっとしかないだけに、話のテンポはめちゃくちゃ良い。場面の切り替えは毎度迅速だし、登場人物らも物分かりが良すぎるのでとにかくスムーズに事が進んでいく。至らぬ点も登場人物の説明台詞やナレーションで手早くフォローしてくれる。暴力描写も皆無で、モブですら殆ど死なない。それだけに悪役が誰かを殺害するシーンなどではその非道ぶりが殊更に際立つ構図になっている。良くも悪くも単純なので、味わいの軽さや盛り上がりの弱さは流石に否めない。ロケーションも全体的に単調ぎみ。でも却って気楽に見れる内容になっているし、西部劇が好きなら息抜きのような感覚で楽しめるかも。
ローン・レンジャーはめちゃくちゃ清廉潔白な男で、人の死を悼み法を遵守する姿勢には普通に好感が持てる。理想主義的かつ西部開拓史の美化としての側面こそあるものの、高潔であろうとする姿は本物なので正直かなりヒーローとして好ましい（アーミー・ハマーのほう、なんで不倫とか強盗とかしちゃってたんだろうなあ）。トントは幾らなんでも従順すぎる気はするが善良なのは間違いないし、主役に食われることなくサポートとして毎度それなりの活躍があるのは良い。
トントもそうだけど、本作は50年代前後ということもありインディアンの扱いも興味深い。“保留地で生活すれば安全が保障される”的な描写が示すように歴史の見直しはまだ行き届いていないし、造形もステレオタイプ的ではある。それでも“悪意ある白人の犠牲になる被害者”として、どちらかといえば同情的に描かれてはいる。
