『世界の中心で愛を叫ぶ』、本作品、そして、『仁』と連なっていく森下佳子の脚本家人生の初期の力作の数々。
おそらく、森下佳子は、既存の物語を脚色する力においては、現在、トップに位置している思われる。そして、原作を遥かに凌駕するのだ。本作も、十数年前、文庫化された時、原作を読んだのだが、すっかりストーリーを忘れている物語だったのだから。
どうしようもなくダメな大人達の中で、自らを律して生きていかなければならなかった二人。
太陽の下を、二人で手を繋いで歩くことを夢に、自分の罪を背負って生きていかなければならなかった二人。
『世界の中心で愛を叫ぶ』から2年、すっかり、女に成長した綾瀬はるかと比較して、山田孝之はまだ幼く、そうであるだけ、より哀しみが深くなったように思える。
武田鉄矢、麻生祐未らの熱演はもちろんの事だが、余貴美子の存在は、このどうしようもない暗い物語の中の、唯一の救いだった。
そして、私は、この物語の第1話がたまらなく好きだ。福田麻由子が演じた女の子が愛おしくてならなかった。