椎蕈

仮面ライダー剣の椎蕈のネタバレレビュー・内容・結末

仮面ライダー剣(2004年製作のドラマ)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

ネタあり、熱い展開ありの大好きな仮面ライダー。
始まってすぐなのに中盤みたいな展開で、視聴者を置いてけぼりにする最序盤はオンドゥル語以外あんまり楽しめない気がするけど、伊坂が出てきてからは目的や設定がだんだんと見えてくるから少しずつ面白くなる。

変身者の感情によって強さが変化する「融合係数」の設定は後の展開を考えるとかなり重要で、初期に出てきた設定を最後まで活かしてるのが良い。
初期フォームで強敵と戦う熱い展開はいくつかあるけど、ブレイドだけはちゃんと理由付けされてるから他の作品よりもその展開で盛り上がれると個人的に思う。
ジョーカーを省けば最強クラスのカテゴリーKを初期フォームで倒したブレイドとギャレンも、絶対に負けられない思いと仲間を信じる思いで、感情が昂って融合係数が上がったから倒せたのが熱い。

34話が全ライダーの中でも1番好きな回。
天音や剣崎と出会って人のことを理解して来た始が「本当に強いのは人の思いだ!」って言うところはめちゃくちゃカッコいいし、A以外の全てのカードを奪われた状態でカテゴリーKに勝つ剣崎もめちゃくちゃカッコいい。
「戦えない全ての人のために俺が戦う!」
って熱い名言も登場する。
その回でキングフォームになるのも最高だし、これでもかってくらい熱い展開を詰め込んでいて本当に大好きな回。

最終回も34話と同じくらい好き。
映画で言っていた
「アンデッドは全て封印した、お前が最後だ、ジョーカー!」
「俺とお前は、戦う事でしか分かり(語り)合えない!」
この掛け合いが最終回でまた見れるのが熱い。
初期フォームから始まり、お互い全力でラストバトルをするのも良い。
そしてなんと言ってもあのラスト。
13体のアンデッドと融合したキングフォームが13回目でジョーカーになってしまうのは驚いたし、始が剣崎の幻覚を見るラストは何回見ても泣いてしまう。
バイクシーンで始まってバイクシーンで終わる仮面ライダーを体現したような描写で、1話は剣崎の姿があったのに最終回は姿がない対比もすごく良いラストだった。

ただ悪いところも勿論ある。
よく言われることだと思うけど、睦月の洗脳期間が長過ぎる。
嶋を封印してから完全に乗っ取られて、そこから42話までずっとカテゴリーAに意識を乗っ取られてるのは流石に酷い。
「スピニングダンス……」って自分で言ったり、ワイルドカリスに片手で止められたり、カード集めしてたりとめちゃくちゃ小物で、草加みたいに掻き乱しまくるキャラじゃなかったのは唯一の救いだった。

小夜子の死を乗り越えて、先輩としてしっかりと剣崎や睦月を引っ張っていた橘が31話以降、また序盤みたいに騙される間抜けに戻ってしまうのが個人的に1番嫌なところ。
15話〜30話の中盤は頼れる先輩でカッコよかったのに、終盤はカテゴリーKを封印するところ以外に見せ場がないのが本当に不満。
後半の展開が熱いのはもちろんだけど、橘と睦月の扱いがあまりにも悪過ぎる。
ただ、橘がまた騙されたのは47話の
「俺は全てを失った」
「信じられる、仲間だけは!」
の発言に繋がる展開だったから一概に悪いとは言えないし、47話の重みとカッコ良さが上がってるとは思う。

悪いところも目立つ作品ではあるけど見ていて1番熱くなれたライダーだったし、最終回も1番好きだし、総合的に1番好きな仮面ライダー。
毎回バイクに乗るシーンがあるし、初期の始は人を助けても感謝されない旧1号編のような展開もあるし、主人公が怪人になるし、最後はどこかに旅立つ終わり方だし、昭和ライダーのオマージュも多くて良い。
人を愛していた剣崎が、最後は孤独になるのは悲しいけど綺麗な終わり方。
少年漫画のような熱い展開と、余韻が残りまくるビターエンドが最高だった。
仮面ライダーに限らず、今まで見てきた作品の中でもかなり上位なくらい好きな作品。
椎蕈

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