Ayakashd

ブレイキング・バッド ファイナル・シーズンのAyakashdのネタバレレビュー・内容・結末

4.9

このレビューはネタバレを含みます

シーズン中ずっと主役を憎んでいたドラマなんて他になかった。何度声に出して「なら今死ねよ」と言ったか。ファイナルシーズンで殺されるのはデナーリスじゃなくてあんたで、あんたがジョンでなくジェシーに裏切られて殺されれば良かったんだ。死ぬのはあんただ。ハンクでも、ゴメスでも、アンドレアでもなく、死ぬのはあんただ。
それなのに、それなのに、こんな回収のさせ方を、こんな清算のさせ方をするなんて。最後にジェシーを助けるのは、他でもないウォルターだなんて。e7くらいで、ああ、これはそうなるんだな、ジェシーを救い出すのはウォルターなんだなと予感したが、それでもこのラストは、あまりにも美しくて、あまりにも、厳しくて、悲しくて、絶句した。
しかも、e6の冒頭。タイトルクレジット前のシーンに、あの最初のmeth cookのシーンを選ぶなんて。言い訳を考えるウォルト。じっとしていられないジェシー。ああ。あの頃は良かったなんて馬鹿馬鹿しいけど、このシリーズをずっと見てきた観客の心をぎゅっと締め付ける。この後彼らに起きたことを思うと、もう、苦しくて観ていられなくなる。多くが死んだ。本当に、多くが、みんなが死んだ。
こんな話が、作り話だなんて、逆に信じられる?こんな、すごい造形が、こんなすごいキャラクターが、こんなすごい物語が、これが、人間の頭で作り出せるものだなんて。絶句。
しかし、此の期に及んで、ジェシーにまだここまでの仕打ちをするなんて。叫んだよ。アンドレアが撃たれた時。ジェシーの顔がまためちゃくちゃになった時。もうやめて、もうやめて、ってドラマ見ながら言う?こんな観るの辛いドラマなかったよ。一度、ウォルターを捕まえた時は、本当に爽快だったのに。あんなどこの馬の骨かわからん連中にrat呼ばわりされるなんて、わたしが代わりに殺してやる。本気で思ったよ。それに、冬のニューハンプシャーで孤独を味わい、フリンに「死ね」と言われて泣くウォルターに、「お前にはそれじゃ足りねえよ、ジェシーが何を味わったか知れよ」と思ったよ。ジェシー。ジェシー、強く生きてくれ。ピートとバジャーは馬鹿だけど善良だから。また仲良くして。アラスカにも行って。元気で。Be safe.
彼にまた映画で会えるのは、嬉しいけど、また辛い思いをさせないでほしい。ただ彼にもう辛い思いをさせないでほしい。
アーロン・ポールってこの役まで無名だったのかな?すげえ演技だよな。目の血管切れそうだもん。不安定で、優しくて、バカなジェシーが、傷つききって爆発するときのあの演技。凄かった。悲しくて、激しくて、キレるジェシーを観ているこっちが、悲しさに堪えられなくなる。凄かった。

いやぁ。

これは偉大なドラマだ。GoTも、たしかにものすごかったけど、ラストの回収の美しさの点で、ブレイキングバッド のクレバーさに及ばなかったのかも。すごいものをみた。

さて、明日からベターコールソウル観よう。
Ayakashd

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