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刑務所のルールブック/賢い監房生活(原題)のAYASのレビュー・感想・評価

4.6
シン・ウォンホ監督の作品なので、当然最後は大団円で終わるのかと思っていた。
出所したところを再逮捕されたヘロリンのことが印象に残った。親は忙しいながらも商売を繁盛させ、日本へ留学出来たり金銭的には恵まれた生活を送れていたはずだ。父親も温かい人柄だと思う。孤独な留学生活で遠距離の恋人とうまくいかなくなったからと安易に覚醒剤に手を出すのは、やはり甘えがあったからなのだろうか。薬物に簡単に手を染めてはいけないというメッセージなのだろうと思う。数ヶ月の薬物断ち、両親も恋人も待っていてくれている目前で、再度逮捕される悲しさ、人生が台無しになってしまう。
刑務所に馴染んでいるように見えて、主人公のキム・ジェヒョクが時折見せる刑務所が嫌で嫌でしょうがないという表現に、誰にでも本音を見せるわけではないこと、プロのスポーツ選手はこれぐらいでないと生き抜けない、厳しい世界に生きている人なんだと思った。
不運だったり、軽率だったりして刑務所に入るはめになった人たちが、あきらめずに再生していく人間の強さと、どうしても犯してはいけない罪を犯してしまったり、それが理解出来ない人間の弱さの両方が描かれていると思った。感動したけれど、ずっしりともきた。
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