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クイーンズ・ギャンビットのAYASのレビュー・感想・評価

クイーンズ・ギャンビット(2020年製作のドラマ)
4.2
実母、義母ともに愛情はあったものの、母親というより恋愛に溺れてしまう女性で、不安で孤独な子ども時代だった。孤児院も怒ってくる人のいない子どもたちだからか、後に州法で禁止になる安定剤を子どもに強制的に与えるなど、適切な養育が出来る場所とはいえなかった。孤児だと、まともな人生を送るのに人の何倍もハードルが高い。無愛想だったけれど、チェスを教えてくれた用務員さんと黒人の女の子だけが心を許せる他人だった。チェスで台頭していくうちに、孤独感からか、早くに成功した子役スターのようにお酒、安定剤、タバコ、異性と乱れていき、早死にしてしまうのではないかと思って、ヒヤヒヤした。心からの関心は示せなくても、面倒を見てくれるプロのマネージャーが必要なんじゃないかと思っていた。それが世界チャンピオンになる頃には、自分が負かしてきたチェスプレイヤーたちが味方になり、チェス仲間が出来ていた。もがき苦しんだ後に気付いた宝物だった。同じゲームを愛する者同士、努力の量も才能も理解し合えるのだろう。きっと方法は何でもいい。他者と繋がれるもの、収入を得ることが出来るものを授けてくれた、用務員さんとの出会いに感謝だ。自暴自棄になっても、チェスをやめなかったのもえらかった。
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