空の落下地点

アンという名の少女 シーズン2の空の落下地点のレビュー・感想・評価

3.9
コールの謝罪がビリーを変えた。敬意は人を変えるアゲイン。アンからレイチェルへの謝罪と同じ。

アンとダイアナはお互いに美貌と知性を讃え合っている。憧れることは、欠けていることを認めることだ。だから、怖い。孤児院でアンを虐めていた子たちが駄目にした本はジェーン・エアだった。ジェーン・エアは孤児が知性で伴侶や居場所を獲得していく話だ。だから、虐めっ子たちもむしろ憧れていい。ジェーンと自分との共通点に慰められてもいいはず。皆、自信が無くて畏れている。ビリーもギルバートの知性に憧れるなら、ギルバートにスペル対決で勝ったアンに憧れたっていい。孤児もビリーも、翼を持たないことを自覚している。アンには未来があって、自分たちにはない。無学なマシューとマリラに、アンは「最善を尽くすしかない」って言ってた。それは能力の高低、家の貧富、運の有無に関わらず、出来ることをやり尽くすしかないっていうこと。ダイアナはある意味で勇敢だよ。無知の知だね。自分の運命を受け容れて、アンを湛えてる。
憧れを憧れとして処理し、認めるには、子どもの脳みそはまだ小さすぎる、というだけ。

ジェリーが文字を書けるようになったことで、クリスマスカードをアンに渡すことが出来る。クリスマスプレゼントを用意出来ない者が、のけ者にならなくて済む。
マシューが見知らぬお爺さんを劇に連れて行ったのも良かった。真冬に車椅子は、押す人がいなければ移動も困難。誰も、老人も無学な者も、誰も物語からはのけ者になってはいけない。
物語に真剣になれる人たちで構成された、そんなアヴォンリーには未来がある。
空の落下地点

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