きみどり

アガサ・クリスティー 無実はさいなむのきみどりのレビュー・感想・評価

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3回読んでも犯人と動機を忘れて毎回新鮮に驚いてしまうエコなミステリファンことわたくし、とりあえずアガサ・クリスティの映像化作品は問答無用で再生することにしている。
衣装や内装、映像の質感などしっかりお金をかけたドラマで大満足。ビル・ナイがメインかと思いきや、当代きっての悪いハンサム、マシュー・グードも出てたので得した気分になった😆

しかし...これなんか違う。こんなお話だったっけ? 
忘れた忘れた言ってても、やっぱりそれなりに覚えてるもんだわ。登場人物や物語のフレームはそのままに、犯人や動機がアレンジ&アップデートされている。最後にサロンで全員集まって種明かし、めでたしめでたし…の定型ではなく、なかなかに意地悪で小気味良い終わり方も好き。

クリスティの小説には、外面は完璧ながら家庭内では支配的で子どもをいたぶる親たちがよく出てくる。半世紀以上も前の物語なのに、今まさに生きている人間のようにリアル。まだ toxic parent という名前も概念も登場する遙か前から、クリスティは毒親小説を書いてたんだなあ...。

こういう普遍的な人間性の描写が素晴らしいところが、ずっと読み継がれ、繰り返し映像化される理由の一つなのかも。
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