そのじつ

獣になれない私たちのそのじつのレビュー・感想・評価

獣になれない私たち(2018年製作のドラマ)
4.0
Tverで配信中。

ガッキーの輝く笑顔を「キモい」と切り捨てる松田龍平…新鮮やな。さすが野木亜紀子。
主演女優になる前の黒木華や伊藤沙莉が出ているのも見どころ。
菊池凛子のプッツンぶりも良い。

ヒロインを次々に襲う無理難題ははじめコミカルなんだけど、重なるにつれリアルに息苦しくなってゆき吐き気さえ催すほどに。

ヒロインの生きる気力が尽きるのか、背負った重荷をちゃぶ台返しで手放すのか…とハラハラする#1のクライマックス。

彼女がどんな選択をしていくのか?話数を重ねるごとに新たに現れるであろう景色を見てみたくなってしまった。


#2では前職場の上司が「あの社長は仕事ができるから、安心して」みたいな事を言っているが、#1を振り返るに無理筋をパワハラで押し付けてくるヒドイ社長(ヒロインの前任者は皆退職)だった。

この様に彼女には自分のことを本気で考えてくれる他者(肉親ふくめて)などいない。

じっさい他人は己の事ばかりにかまけているのだ。恋人だって…

虐待を受けて育ったヒロインは、この先いかに自分の生きる世界を構築していけるのか。

色々最悪すぎる出発だし、どのキャラもそれぞれに違った語り口の人生を背負っていて、なにを見せてくれるのか楽しみ。

#7
色々めんどう過ぎるものに取り憑かれている主人公アキラ。

視聴者としては「もう全部捨てたれ!」とイライラしてしまう。#1からイラつきっぱなしだった。

しかしこの7話でアキラが自分の在り方を自分と向き合って捉え直す姿が描かれていて、それは面倒だと思っていた人達の影響下にあったと思わせられる。

他者は己を照らし出す灯。
外的要因を排除するのか、己の器を変化させながらそれと付き合っていくのか。
生きやすくなるポイントだなあ。

しんどいストーリーをしっかり時間をかけて育て上げていく手腕素晴らしい。
もちろん毎回エンタメ的に楽しい要素もあって良いドラマだ。

これまでの恋愛もの、別れの後に自立という流れが多かったイメージ。

本作は一人で生きてきた女性が、周囲に影響され形を変えながら結婚せねばという縛りを解き、自由な心を手に入れて「あるべき」でなく「ありたい」形を探ってゆく。

「結婚」か「おひとり様」かという二者択一の選択肢はもう古臭いのだ。
そのじつ

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