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王になった男のsoopenのネタバレレビュー・内容・結末

王になった男(2019年製作のドラマ)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

脚本、演出、キャスト全てにおいて秀でている、計算され尽くした圧巻の時代劇。

ルイ14世の映画、仮面の男を彷彿させるような、全く同じ顔の性格が真逆な男達が存在するとして、1人が暴君だったなら、周囲はどう動くべきか、という難題に、仮面の男の場合は、隠された双子と取り替えてしまおう、と三銃士達が立ち上がるというものだが、こちらの王の男の場合は、全くの良く似た別人を、偶然街中で見かけた役人が、一人で計画して取り替えてしまうというもの。全く違う話ではあるけれど、暴君の圧政に苦しめられ、恐怖を感じた部下が立ち上がる点は一緒。ただ王の男の方が王の影武者は別として、仲間が少なく、立場も弱い者ばかりで、立ち上がった役人が、孤高の戦いを強いられて見ていて苦しいシーンが続く。そんな中で、持ち前の頭の良さで、形勢を逆転させていくのはスカッとした。

光海君をモデルに描かれた作品とのことなので、最後は済州島に流されるのかと思って、続きが気になるものの、ラストを見たくない気持ちで、ノロノロと視聴していたら、ドラマチックな仲間達の死が沢山用意されていたものの、王と王妃は生き残り、一応のハッピーエンドとなり一安心。
とはいえ、一番の武官がここで死ななくても!という最後の最後で果てるのが見ていて辛かった。王をお守りして死ぬ、という本懐を遂げられて本人は幸せかもしれないけど。

本物の王については、子供の頃に暗殺されかけて、王位についてからは誰も信じられなくなって、麻薬に頼り、自分に逆らう人物とみなすやその場で斬り捨て…という悲惨な面ばかりが目立って、王妃に対しての優しい面もあった過去編については掘り下げられることがなかったのが少し残念。

ヨジングの演技はお墨付きとはいえ、この作品では余す所なくその魅力を発揮し、イセヨンも品格を感じる美しい王妃を好演。何より都承旨役のキムサンギョンは主役を食う見せ場が沢山あり、長年連れ添ってきた妓生との悲しいラブストーリーには涙しかなかった。個人的にはチョ内官役のチャングァンさん。この方、いつも悪役のイメージなのに、顔が温水洋一に似ている(と思っている)ので、勝手に悪の温水、とまで呼んでいたのに、どうしたことか!今回すごく良い人!とヨジング扮するハソンとのほのぼのしたやり取りに、ホッコリさせられた。

都承旨。
この役職でどうしてそこまで権力を行使出来たのか?調べたところ、王の秘書室長のような役職らしく、領議政(総理大臣)や左議政(副総理)より目立つのはおかしいのではないか?と思って更に調べたら、なんとモデルになった歴史上の人物がいたとか。映画版の都承旨の名前がホギュンと言い、実在した文官で、このドラマ並みの活躍を見せたというので、更に気になってきた。ホギュンというドラマもあるようなのでチェックしてみよう。

視聴を勧めてくれたフィル友さんに感謝します!ありがとうございます!
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