ボロロボ

トゥルー・ディテクティブ 猟奇犯罪捜査のボロロボのレビュー・感想・評価

4.2
吹替版を鑑賞。

シーズン1のテイスト(バディもの/時系列の往来)を持ちながら、シーズン1とは似て非なる展開。
シーズン1とは全く異なっていたシーズン2を観終えた後に当作を観始めた時点では「ああ、原点回帰かあ」なんて浅はかに考えてたけど、その程度のものではなかった。
犯罪と捜査の狂気にフォーカスしたシーズン1に対して、シーズン3は家族と時間にフォーカス。ジワーッとそれらの深みに浸れる、そんな作品。

印象的な演出。
●異なる時系列が一瞬接点を持つ:「インターステラー」みたいだなあと思った。
●異なる時系列がミックスされる:最終話の1ヶ所だけだったけどグッと来た。

異なる時系列を見事に表現してくれるのは、役者陣の素晴らしい演技力と、見事な特殊メイク。メイクには本当に感心。ちゃんと時系列を分かりやすくしてくれている。

主人公のウェイン、気のいい人物でありながら、コンプレックスによる闇を抱える・・・ベトナム帰還兵として、黒人として、父親として、夫として、刑事として、組織人として、教養において、老人として。

そんなウェインの相棒、ローランド。
信頼と失望を繰り返すが、ウェインに付き合い、寄り添う最高のバディ。一番失っていたのは実は彼ではなかろうか。

最終話で、シーズン1との繋がりを思わせるシーンがチラッと出てきてドキッとさせられる。

事件そのものの顛末は、割といたたまれなくて残酷。金で買えるもの、買えないもの。救いがありそうでなさそう、救いがなさそうでありそう。

諸悪は永遠ではないが、司法や権力を蝕んで、その爪痕は狭く深い。

振り返ってみるとミスリードの嵐。
信念が強すぎるために起きてしまう誤解とぶつかり合い。

そして老いの恐怖。つらい。
自分も身につまされる経験があるだけに尚更。

最後にフワッと花開く善意。
そしてすれ違い。
とても切ないが、これでよいのだろう。

苦み強めの極上ブラックコーヒー。
TRUE DETECTIVE。
本当の刑事。
ボロロボ

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