ねまる

令和元年版 怪談牡丹燈籠 Beauty&Fearのねまるのレビュー・感想・評価

3.8
大変気に入っている源孝志作品シリーズ。
NHKも力を入れてるので、とにかく質が良い。

怪談、とあるけれど、驚かすための話ではなく、人間の欲と業の深さを描いている。
主として、3組の男女が出てくるのだけど、全然違う話なのに、1本の話として繋がりがあるのが面白かった。

私は、黒川孝助視点で観ていたかなと思うのだけど、のちに新三郎とお露を中心に編集し直した再編集版が出たということは、この2人に惹かれる人が多いのかもね。

他のカップルと違って、新三郎とお露は人間の欲と業の深さではなく、物理的にお化けの話。お化けの側がピュアで、悪い人間のせいでそうなっているというのが、なるほどなという構図でした。

悪い、というかそんなもんだよな人間って感じで、こいつが悪いと決め付けられれば簡単な話なんだけど、そうもいかない曖昧さ。
野心がどこまで悪となるのか、って微妙でお国やお峰を悪いと思いきれないところもある。

生まれで食い扶持のある飯島平左衞門や新三郎と違って、何も無いところから始めなければいけない彼らに舞い込むチャンスに手を伸ばすのはそんなに悪いことなんだろうかって。
この話の場合は人が死んでるので許されないし、自分の犯した罪からは決して逃げられないというのが、繋がり繋がりの物語によって、暗喩されてるのが、ストーリーとしての深さを感じるね。

源ワールドではお初の若葉竜也。私は孝助目線で観ていたので、非常に分かりやすくて、大衆演劇仕込みの殺陣も良くて、今作のMVPでした。
ねまる

ねまる