中国は歴史ファンタジー分野の作品が多いが、三国志軍師同盟とか史実に基づいてる作品が好きなのでとても面白かった。
岳飛も清廉潔白すぎて時に理解されない人物像が堂々と描かれていてよかった。
全体的な演技の水準も高かった。
ずっと同じトーンではなく少し滑稽な場面があったり、穏やかな場面があったり、まさに1人の人物の成長や喜びと苦悩が立体的に描かれていたと思う。
戦闘シーンも、これは作品によって技量が分かれるところだと思うがとても面白かった。
割と戦闘シーンが単調で「早送りしよう」って気持ちになる作品も多い中で「いけいけ！登れ！」「すげー！」「わー！逃すな！」とつい声に出したくなるような手に汗握るシーンだったと思う。
中国の歴史物は戦記モノと後宮モノが大きくあると思うが、戦記モノの名作。
後宮モノは面白いけど、主人公の相手の男性が皇子や皇帝であることが多いのでかっこいいこと言っても「いやいや、庶民から搾取しといてなんだお前」みたいな気分になることが多い。
岳飛は常に民衆の味方であり、皇帝や奸臣に敢然と立ち向かう。特にこの作品で皇帝はとんだ暗君なのに「自分は耐え忍んでる」とか言う非常にイラッとくるタイプなため（全体に悪人が口がうまくて腹立つ）、尚のこと文才がありながら巧言令色を弄さない岳飛や他の武人の清々しさが際立つ。
中国で関羽と並んで崇められると読んだが、中国文化における英雄とはこの様な人物なのだなという学びにもなった。
