自宅で。
2021年のアメリカの作品。
監督は海外ドラマ「POWER/パワー」のカリ・スコグランド。
この前MCUドラマシリーズのトップバッターである「ワンダヴィビジョン」がめっちゃ面白くて一気観したので、その流れで2番目のドラマシリーズである今作をチョイス。
「ワンダヴィビジョン」の方はそのキテレツな設定と相まってのクリフハンガー要素があって、一気観しちゃったけど、今作は観るのにぶっちゃけめっちゃ時間がかかってしまった💦
ただ、つまらないかと言うと全然そんなことはなく、むしろなんでこれ映画化しなかったんだってくらいの重厚感。
今作ではタイトル通り、キャップの頼れる相棒であるファルコンとかつての旧友、そそしてかつての敵であり、今は味方のウィンター・ソルジャーことバッキーの物語。
このスピンオフドラマのチョイスが前作に続いて、絶妙で、特にファルコンていつの間にか仲間になってた割に地味と言うか、個性豊かなMCUヒーローの中では埋もれちゃうキャラクターだと思ってたから、そこら辺の掘り下げという意味でも意義深い。
要は今作特にファルコンの成長譚的な意味合いが大きく、一話目からそんなファンコンの勇姿を拝むことができる。相棒の小型飛行メカ「レッド・ウィング」の活躍もあったり、いつの間にか自身の翼もレッドメタリックで地味にかっこよくて初っ端からファルコンの評価がグングンアガるっ!!
また、その相棒というか腐れ縁なバッキーとの関係性も描かれるんだけど、中心人物であるキャップがいなくなった分、犬猿の仲とまではいかないまでも、職場の同僚だったら「あ、こいつとは一緒にやるの嫌だな…」くらいの結構深刻な仲の悪さがあって、大丈夫?という感じ。
というのも、のっけから「エンドゲーム」のラストであのキャップから直接託されたはずの象徴的な「盾」をファルコンが日和って政府に返還してしまうのがそもそもの原因。
ということで、今作「盾」にまつわるお話でもある。
その上、なんと2人には何も知らされていなかった「二代目キャップ」も現れ、おまけにその相棒でバトルスターという良くわかんないやつ笑まで現れて「古参はお呼びでない」扱いw
1話目はこの二代目の登場で終わるんだけど、その二代目を演じるのはあのガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス」でスターロードの父親「エゴ」を演じたカート・ラッセルの息子ワイアット・ラッセル!!うーん、顔立ちがそっくり!!
観る前からこのキャラクターの登場はネットニュースなどで知っていたんだけど観る前はキャップという名声に固執する自意識過剰の暴走する気味野郎だと思いきや、ちゃんと彼には彼の想いや正義があって、なかなか人間味のあるキャラクターだった。だからこそ、ある悲しい事故とその正義が暴走した挙句のあの行動は…うーん同情できる部分があった。
で、中盤はそんな2人とファルコン&ウインターソルジャーの凸凹すぎるコンビのコンビ対決、お互いうっすら協力する場面がありつつ、火花バチバチ!なんか今作どこもかしこもバチってるなぁ笑
しかも、そこに「シビル・ウォー」で負けはしたもののアベンジャーズ勢のキャップとアイアンマンの麓を分つというある意味、常人でありながらヴィランとしての格を示したあのヘルムート・ジモが協力者として参戦!!ただ、あの時とは異なり「敵かな?味方かな?」というグレーラインの状態で暗躍する様が良い!!改めて良いキャラクターで、演じるダニエル・ブニュールのニヒルな感じも最高だった!!
ただ、今作敵対する組織は他のシリーズや作品に比べると凄まじく地味、要はスーパーソルジャーとなってしまった一般人軍団なんだけど、そのバックボーンこそドラマ性はありつつも、そこまで脅威に感じない。
その上でやはり注目すべきポイントはファルコンの成長にある。二代目キャップやスーパーソルジャー軍団との攻防、はたまた姉貴の生活困窮による船を売るかどうするか問題など公私共に問題続きの中で、思い悩むファルコン。
ただ、その中で初めは仲違いしていたバッキーとも絆を紡いでいき、その上での一緒に姉貴の船を修理するシーン。船を直していく中で、2人の関係性までも修復していき、真の意味での「相棒」となる良いシーンだったと思う。
そして、遂にキャップの跡を継ぐ決意をしたファルコンが3代目キャップを襲名し、ヒーロースーツに身を包む!!見た目はサンバイザー風サングラスに青に統一したキャップとは異なる白を基調とした全身を覆うスーツ、そしてファルコン時代から引き継いでの背中に生えた翼と一見奇抜な格好ながら、ファルコンとキャップの特性を掛け合わせた良い塩梅のバランス。何より事前にファルコンのアクロバティックな能力とどのようにマッチして盾を使いこなすかちゃんと習得した上で戦う、彼なりの努力というかこれからの道筋みたいなものがちゃんと生かされた戦い方をしていてかっこよかった。
あと、ちゃんとレッド・ウィング×2も活躍してたしねw
あと、やはり印象深いのは終盤の演説シーン。
「俺には超人血清も金髪も青い目もない。
俺が持つのは人を信じる心だけ
「よりよい世界を造れる」と」
とカメラ越しの市井の人々に対しての彼なりのヒーローとしての決意表明…うーん、なんというか感慨深いし、ジーンと心を打つものがあるなぁ…。
キャップと同じようにはなれない、けど、「よりよい世界」を造るためにできることがある。何の能力も持たないエージェントからファルコンになり、数々の戦いを通して、遂に真の「ヒーロー」となったサムの今後をこれからは真摯に応援せざるを得ないなぁ、これは。
ただ、そんな心を打つスピーチの後、ずっと側で戦ってきたバッキーはというと「すまん、メール打ってた笑」と絶妙な肩透かしというか照れ隠し…うーん、イイ!!最大の理解者であり相棒のだからこそ言えるセリフだな!!
ということで映画化として観たかった部分はあるもののドラマシリーズだからこその関係性というかキャラクターの深掘りを最大限に行使して描き切ったやはり意義深い作品。何より本当にこれからの2人の活躍が楽しみになった作品だった。