ちりこ

如懿伝(にょいでん)~紫禁城に散る宿命の王妃~のちりこのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

これも作業用にひたすら流してました。
「延喜攻略」とは主人公と悪役の立ち位置が入れ替わった構造なので、そういう面白さはあったかな。
ただ私は「延喜攻略」の方が好みだった。
主人公は基本的に善人で芯のある格好良い女性なんだけど、作劇的に完全に善悪の構造にしてしまっているところがとても引っ掛かった。
宮廷愛憎劇のお約束として、悪役が陰湿でえげつない事してるのは確かなんだけど、主人公とか彼女の味方の振る舞いがそれを助長しちゃってるところは大いにあって、共感しにくかった。
刺激しちゃやばい所に爆薬を撒いて火をつけるようなことをしてたら、そりゃ大火事になるでしょ…。平穏に暮らす気あるのか?
軋轢を減らして諍いを避けるのも皇后の仕事だと思うけど、皇后になってからの振る舞いはぶっちゃけ悪手が多すぎるし、何か事件があっても特に証拠とかもないのに悪役の仕業に違いないって断定しちゃうところとかは怖すぎる。
主人公を悲劇のヒロインとして清廉にしておくには、そういう部分で違和感が生じてしまっているのが気になった。
エンエンは悪役だし、やってる事も理屈も本当にやばいんだけど、個人的にはああいう野心と根性のあるハングリーな女子はとても好物。彼女のなりふり構わなさは作中では下品と貶されてるけど、ご令嬢と女官上がりでは生まれた時から持ってるものの格差が大き過ぎるので、えぐい話でもある。
あとこういう話のお約束でヒロインに横恋慕する男の存在もなぁ、結婚してるくせに未練たらたらで奥さんはほったらかしとかただの屑なのに、悲恋で美談みたいにしないでほしい。
そんな調子で主人公の周りの人物の善人面した残酷さみたいなものが妙に鼻く造形だった。悪役がやり込められてもなんとなくスッキリともせず、誰も幸せにならないし、後味の悪さは拭えなかった。
「宮廷の諍い女」も似たテイストだったので、これは原作の味なのかな〜。
ただ美術や衣装や小物の美しさは素晴らしかったし、南巡のところとかの船行のシーンはとても壮大で見応えがあった。
あと窓や紗幕の裏から覗き見るような独特のカメラワークも面白かったです。
ちりこ

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