うろもとうとか

北の国から '92巣立ちのうろもとうとかのネタバレレビュー・内容・結末

北の国から '92巣立ち(1992年製作のドラマ)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

少し前に田中邦衛さんの追悼で放送した
初恋から父に火がつき
しかし多分沢山の人に火がつき
近くのTSUTAYAさんの
北の国からが一斉に
レンタル中になっていたそうだ
そしてついにレンタル出来たであろう
今作が僕にも回ってきた
なんだか急に話が飛んでる気がするなと
思ったら初恋と今作との間に当たる
帰郷なるものがあることがわかった
それはもう観て返却したのか
飛ばしてレンタルしたのかわからないが
序盤ちょっと気持ちが出遅れるも
全パートに惜しみなく
複雑な感情の入り乱れが詰まってて
どれだけの時間をかけて
この脚本を練ったろうか
全体の話で考えると
まだまだ通過地点なのに
その果てしなさを感じた
螢とか純とかにシフトする前に
五郎さんの抱える家族への寂しさ
純粋な人肌恋しさの時点で
少し痛々しくもあり、もう涙腺に来てた
そして螢へのシフト
螢の語り、父と彼氏への想いの揺れ動き
旭川と彼氏の居る帯広の間に
富良野があるという絶妙な土地の並び
やさしさが目からこぼれ落ちる
個人的に前編で一番締め付けられた
正吉の五郎さんへの想い、姿勢
ここの酔っ払い五郎さんの一筋の涙が美し過ぎた
そして純へのシフト
この歳になってやっと気付く
螢もそうだけど純の語りの素晴らしさ
そしてこの時代のカルチャー
アイデアが可愛い気の利いたデートの仕方
しかしいつまでも子供染みた遠距離恋愛に生じる
綺麗事に飽き飽きしはじめる純
れいちゃんへ青いなりに"愛"を感じているくせに
気まぐれのやさしさと下心で
タマコと半端な男女関係に浸ってしまう
個人的にタマコこと裕木奈江さんが
配役なのが可愛い過ぎて
れいちゃんへのようには愛せない
と言ってる意味が
わからなくなってしまうほどだった
草太兄ちゃんとアイコさんそして
その溢れんばかりの希望を
形にしたかった式が絶望に変わってしまう
あの下り残酷な現実過ぎる…
捉え方の違う身篭りで繋がれる富良野と東京
レベル高めの若さ故の過ちは
大人になったつもりでいた純に
無力感や父への罪悪感に苛まれる
欲望に負けたとは言え
悪人では決してない純には
経験値と片付けるにはなかなかにハードだ
息子の過ちの為に
自分にみせられる誠意について考える中
自分で時間をかけて皮の処理をした丸太を
全部売って金を作る
純からすれば申し訳なさでいっぱいだが
五郎さんとしては
そのおかげで石造りの家を思いつく訳で
大晦日に帰ってくる純と螢に喜んで貰う為に
自分の力でだけで時間も忘れて
井戸を掘り進め、掘り当て
スナックで流す涙にはもらい泣きした
大金の代わりにもっと大きいものを得たとは言え
ほんとのほんとは心の内に複雑な気持ちが
入り乱れてるとは思うけれど
それはお前にやった金、
お前の為のものだと言い切る五郎さんに
泣きしびれる純、たまらなかった
やっと家族が揃ったのも束の間
五郎さんの生きる糧は次々と崩れ落ちる
確かに全部が全部五郎さんが
勝手にやったことだけれど
そんな言葉で片付け切れない想いに
胸は締め付けられる一方だ
そこにトドメを刺すように
子供達には内緒で作ってる
山小屋の屋根の雪かきをする五郎さんを
悲劇が襲う
足を滑らせ屋根から落ちた五郎さん
落ちた衝撃で崩れてきた丸太の下敷きになり
猛吹雪の中もがきにもがき
シートで屋根をつくったり
ナイフで丸太を削って火をつけ
暖をとったり奇蹟どころか
もはやファンタジーの域まで達しつつ
絶体絶命の中、犬のアキナの暖かさのおかげで
助かったのだろうと医者に言われる
五郎さんが弟子入りした大工の金治さんが言う
奇蹟じゃなくて自分で生きたんだと
泣きながら語るトドメは刺さるでしかなかった
一概に"面白い"と片付けられない程の
しっかりと重量感のある内容に
スペシャルドラマの域を今作だけで超えていた