吉田コウヘイ

ウォッチメンの吉田コウヘイのレビュー・感想・評価

ウォッチメン(2019年製作のドラマ)
4.0
テッド・チャン『あなたの人生の物語』にも通じる、自由意志と決定論を巡るクライマックスのエモーション。ソリッドでクールな前半エピソードを経た6話から、一気にギアが上がるストーリーとメッセージ、映像構築の熱量。それとバランスを取るため増えるユーモア。

“Life on mars”、”Time is on my side”、”I am the walrus”。各エピソードのタイトルに冠される歌詞のチョイス含め、既存のポップソングの使い方のセンスはさすが。特に最終エピソードのそれはDCの文脈も背負いながら見事。

直接的に扱われるアメリカ近代史上の事件のみならず、例えばグリフィス『国民の創生』の構図の引用であったり、スピルバーグ『シンドラーのリスト』のパート・カラーへの言及でヒトラーとあるキャラクターの思想の共通点を浮き上がらせる、などなどいくつも文化的隠し味が仕込まれているのも面白い。