土方龍馬

テセウスの船の土方龍馬のレビュー・感想・評価

テセウスの船(2020年製作のドラマ)
3.8
ここ見る前に、自分の中では3.8くらいかなあと思ったら、平均値がそれだった。4にするにはちょっとなあという点があったんだろうね、みんな。

内容的にはすごく良かった。最終回前までは。誰が犯人なのか、誰でもあり得るし、ハラハラドキドキさせる作りが上手かった。そして、家族愛の大切さもすごく伝わり、毎回泣けるシーンがあった。

ところが最終回でいきなり後ろから膝カックンされた感じ。せいや犯人かよ!別にせいやが嫌いなわけではないけど、やっぱりドラマ初出演でラスボスは無理でしょ、演技的に。「妹は死んだ!」って大声で言うだけではなあ、何も伝わって来ない。ちょっと苦笑してしまった。彼の演技だけのせいではない。動機もイマイチ。それは脚本に原因がある。

最終回前であれだけ校長先生の疑惑を高めておき、最終回でも相当な思わせぶりだったが、結局犯人は別。校長が犯人でなければいけないということではないが、それにしてはあの異常なまでに大量な鉛筆の削り残し。そして失敗した絵を消すのにあそこまで画用紙全体を真っ黒に塗りつぶす必要があるのか?あんなに鉛筆を尖がらせる必要があるのか?非常に不自然。視聴者騙しのためだけの演出としか考えられず、ストーリー性に欠ける。

そして何より許せないのが、あまりにも伏線回収をせずに残したままのものが多く、どうなったのかと思ってる人が沢山いるだろうと推測されるが、実はその伏線、ほとんどがParaviのネタバレ番組で回収されているのだ。そのやり方は、ダメでしょ!「真の最終回は映画館で」みたいなやり方。Paraviに入ってない人はまったくわからないではないか。たまたま自分はこのドラマもParaviで見たから、続きとして見られたが、そうでない人は見られない。モヤモヤしたままのはず。そういうのはドラマとしてどうかと思う。

最終回前までがとても良かっただけに残念だ。ちなみにネタバレ番組見て、さらにディレクターズカット版もParaviであるみたいだから、そっちも見てみたい。少なくとも伏線回収しながら理解し、最終回前までは楽しめるので。
土方龍馬

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