古泉智浩

昨日、悲別での古泉智浩のネタバレレビュー・内容・結末

昨日、悲別で(1984年製作のドラマ)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

 素晴らしかった。倉本聰で一番好きな作品だ。

 童貞が精いっぱい青春を謳歌していてすがすがしい。それはもちろん楽しいことばかりでなく苦いことの方がむしろ多いかもしれないけど、そんな時期をはるか昔に通り過ぎた者として涙が出るほど、心に来る。

 天宮良や石田えりが必死に取り組んでいるダンスの未来には最高到達地点で武富士のCMしか思い描くことができず、そんなのも苦い。武富士ダンサーズはどうしているのだろうか。武富士は過払い金請求で大変なことになり、今はもうない。

 大体、お母さんが五月みどりなだけで、ド田舎にF1カーが爆音を立てて走り回っているようなものだ。完全にオーバースペック。

 70歳くらいに見える大滝秀治が56歳、オレと2歳しか違わない。愛人がいてそっちも元気なのか。見かけは70、あっちは40みたいな、確かに大人物だ。

 石田えりはてっきりトルコ嬢なんだろうと思っていたら、愛人バンクに所属の愛人で社会をにぎわして政界を揺るがすまでの存在だ。天宮良が童貞なのにしっかり彼女を支えようとして健気だ。

 既成曲を景気よく使っていたり『生きる』を流したり、テレビに映る早見優とかポスターのキョンキョンを大写しにするなど、ソフト化されないのはそれらが原因かもしれないが、多くの人に見てもらえない状況は残念だ。

 一回一回がけっこうずっしり来て、連続で見る気が起こらない。夜中子どもが寝ている横でヘッドホン付けて見て、朝、子どもを保育園に送ってからまた1本、というようなペースで見た。
古泉智浩

古泉智浩