ふじこ

運命の炎のふじこのネタバレレビュー・内容・結末

運命の炎(2019年製作のドラマ)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

上流階級の方々が集まって売上を寄付するバザー会場。
人でひしめく中、映画を上映していた映写機から出荷。従業員は すぐに消し止められますよ と言うもののメイドローズは不信感から奥様の息子を抱いて外へ向かう。
外に居たメイドの仲間にその子を預け、奥様とその親族の若い女性アリスへ声を掛けるもあっと言う間に広がった炎がどんどんと迫り、ドレスを着た女性たちは男性に投げ飛ばされたり転んだ拍子に踏まれたりして、120人の死者の内ほとんどが女性だった…と冒頭に表示される通り。
普段は紳士ぶっていても、我先にと逃げ出すために女性を投げ飛ばしたりする。怖いな…でも火事も怖いもんな…。

出入り口が一つしかない上に、回転扉とかいうメリットが一つも思い浮かばない方式だったお陰で人の波は全然進まず。普通の開閉式だったら良かったのに、人が押し寄せた結果扉が回転しなくなったりしちゃう。最近はもうあんまり見ない気がするけど、急いで出たい時とか終わってるよなあいつ。

思わず回転扉のメリットを調べちゃったけど、室内へ吹き込む風を防ぎ空調効果が保たれる事と風が通る音が抑えられた上に他のドアの開閉がスムーズらしい。お前…意味あったのか!って言う気付きを得た。
でもかなり前だけど子供が挟まれたりして事故も多発していたし、防災上はどうなってるんだろうなあ。

娘を無理矢理海外の寄宿学校へやり、離婚しようとしていた妻アドリエンヌを殴ってバザーに行かされた妻は自分が死んだ事を偽装して浮気相手の小さなアパートへ逃げ込み、有能だったメイド ローズは壁に穴を開けて助けてくれた消防士達と逃げる際に転倒して、主人であるアリスを助けようとして戻ろうとした際にアリスの恋人に炎の中に投げ込まれてたけど、なんとか生きてた。良かった。かなり火傷してたけど…。

息子をメイドに助けられるも、群衆に踏まれて死んだ上流階級の女性を死体安置所で見つけたその祖母が、ローズの入院先に戻って何を思ったか顔を火傷した彼女を娘として引き取る事にする。
アリスを助けた男は反政府組織みたいなやつの一派だし、浮気相手の元に逃れたアドリエンヌは宝石を売ったせいで足が付きそう…。ローズの夫は遺体安置所で奉仕先の大奥様が別の遺体に付け替えたブレスレットを見て死んだと思っているし、アリスは婚約者がローズを突き飛ばしたのを見ているのに、父親はそいつとの結婚を急がせようとするし…。

火事の後がメインで、上流階級に成り代わったローズを幼い息子だけが見抜き、死んだ事にしたアドリエンヌは娘を連れてロンドンへ逃げようと浮気相手に黙って宝石を売ったりそのお金を盗まれたり娘に手紙を出したり姉に会ったり勝手にやりたい放題。アリスは破産寸前の家を考えて最早嫌悪する相手であるローズぶん投げ男と結婚を選ぶも助けてくれた反政府組織の男と良い仲になったりなんだり。サスペンスの側面が強い。ドキドキしちゃう、特にローズはどうなっちゃうのか気になる。同じくアリスの家で御者をしていた夫にアメリカ行きの船のチケットを送り返す事で、上級階級に身分をやつして生きる事を選ぶんだけど、どうなるのか…。顔にも腕にも酷い火傷を負って(アリスの婚約者のせいで)、そんな姿で誰が雇ってくれるのか と言われ、夫の事も考えてそうする事を選んだんだけど悲しすぎる…。有能だったし、主人を助けに戻ろうとしただけなのに。

ローズが成り済ました上流階級の息子トマがとっても可愛い。ママじゃないと分かっていながらそれを言ってはいけないとも理解していて、母親が嫌いだったリンゴジュースを知らずにローズが頼んだ時にこっそり"ママの嫌いなジュース"と教えてくれて、ローズがでもわたしは好きと返すと"ぼくも好き"と教えてくれる。むちゃくちゃ可愛い。

最終的にはアドリエンヌの夫もやりたい放題していたけれど、家に戻った彼女にかつての犯罪の証拠を握られて自殺。ローズは成り代わった女性の夫と色々あったものの殺しちゃって、ローズの夫だった御者と一緒に病でもうすぐ亡くなる大奥様とトマを実子としてきちんと育てると約束し、御者と再婚して大奥様同意の元家を乗っ取る形で元鞘に。
アリスは色々頑張った結果父親が火災は映写機が元であると公に認め、釈放された火事から助けてくれた男と抱き合い、ローズに逢いに来た際にそっと告白された、アメリカには行けなかったけれど幸せです との告白を聞いて泣きなきながら気付かなかった事を謝り、アリス様 会いたかった わたし達は生きている と抱き締め合って終わり。

この終わり方は好きだったなあ。
ローズが入った家は、元々大奥様と娘の上流階級のお家で、そこに碌でもない夫が玉の輿みたいな感じで来たものだから娘が亡くなったとあれば財産は全部この夫のものになっちゃう…ヤダ…と考えた大奥様が狙っていたもので、将来的に家督は第一子であり正当な血筋のトマが継ぐんだからまぁ大奥様的にも悪くはないんだと思う。
火事で散々な目に遭ったけど、ローズ自身は良い人だったし(夫を殺されそうになって偽の夫を殺しちゃったけど)幸せになったら良いかな。トマも親父を嫌っていたし、ローズの本当の夫に大事にされてて良かった。
綺麗に勧善懲悪過ぎて おぉん…って感じで少し物足りなかったんだけども。ローズのターンが一番面白かったと思う。
最後にアドリエンヌに火を点けなかった辺り、悪人だけど本当に愛していたのかね。大事にしとけば良かったのに。

たった100年と少し前だけど、馬車にドレスに最新の防火設備なしにDNA鑑定も勿論ない。
実話に基づく話らしいけど、どこまで実話なんだろう。火事の部分だけかな。
ふじこ

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