Kente

リプリーのKenteのレビュー・感想・評価

リプリー(2024年製作のドラマ)
4.2
これは凄いものを見た。

「天才」ではなく「天性」の詐欺師が主人公。常に行き当たりばったりで、脇が甘く、いちいち証拠や矛盾点を残しつつも、その場その場を持ち前の大嘘でごまかし、取り繕い、しのぎ続ける。さてその結末や、いかに...。

隙を見せない大悪党の完全犯罪ものも好きだけど、こういういちいちバレそうでヒヤヒヤする「不完全犯罪」ものも実にサスペンスがあってよかった。

警察が、友人が、街の人が、大家が、ホテルのフロントや猫までも、いちいち主人公を疑うような視線を送っているようでドキドキする。悪いことやって隠している人の心理ってこんな感じなのかな、と実に生々しかった。自分には耐えきれません、犯罪はいたしません。

他にも、たびたび挿し込まれる絵画や彫刻が実に何かを象徴しているようで示唆的だが、これには私の知識と感性が及ばず。どなたかの考察を待つとしよう。

俳優陣ではダコタ・ファニング以外、ほとんど知らない人ばかりだったが、脇役含め実に味があってよかった。特にホテルのフロントマンにそれぞれ個性があって楽しかった。そうそう、最終盤でGoogleのキャスト表にも乗っていない凄い俳優が登場するので、お楽しみに。

何回目かのリメイクらしいが、他を見なくてもこれが決定版と決めつけてもかまわないのではないだろうか。
Kente

Kente