FATMAX夜食のデブロード

新聞記者のFATMAX夜食のデブロードのレビュー・感想・評価

新聞記者(2021年製作のドラマ)
4.2
色々と裏話も出て来たりで 良くも悪くも話題なのは間違いなく、個々の思想等で反応が変わるのも必然とは言える。
そういう内容である。

しかし、今ドラマでリブートされた意味はある気がした。
(あまり真面目に語るのは得手じゃないし、そもそも漠然とした感覚ではあるが。)


前置きするが、ワシはフィクションとして観れた側である。

そういう方向で書くが…


ランタイムの圧倒な差と連ドラ構成という『映画版と並列で比べるには難しい』部分もあるが、ソレを差し引いてもワシはコチラの方が好きである。


言うてもサスペンスというジャンル物。

ソコで考えた場合、映画版はクライマックス手前で暴かれた"真相"が

『道中の作品カラーにしては、結構 斜め上』

だったせいで、リアリティある展開から一気に冷めさせられてしまった感覚が強かった。


今回のドラマ版はソレが無い。
尺が長いからこそ出来た事なのかもしれないが、カラーにブレが無かった。
コレは大きい。

そう思えたのは『視点が増えたからではないだろうか』と。

記者側/官僚側に〈一般人〉目線がプラスされたのは大きいかと。
木下亮(横浜流星)のパート、事件そのものに激しく絡みまくるワケじゃないのに取って付けた感が無い。
個々のパートが良い塩梅で話を持ち上げる。

おかげで尖った真相をブチ込まなくても充分にアガれる展開になった様に思える。



どちらも決して明るい終わり方ではないが希望の光量はかなり違う。
(映画版はもう真っ暗と言いたくなるぐらいではあるが)

それぞれ終わり方が発表された時に「今この時代だからこそ」という感じである。



役者に関しては甲乙付け難い。

米倉涼子は更にもう少し抑えても良い感じな部分も少しあった気はしたが、『私 失敗しないので』感は皆無。
(相当監督に抑え込まれたらしい)
視点の増加もあり出突っ張りになっていない事もプラスされて存在感の"過剰ブースト"が無い。
ぶっちゃけハイパワーで不得手だったのだがコレからどうなるのか、以降の出演作を観てみたい気になった。

綾野剛も同じ監督の地上波ドラマ《アバランチ》とは180°どころか540°回って真逆の〈生々しい"人"〉という感じで良かった。

横浜流星はまだチョイと"カッコ良い"が残ってたかもw
とはいえ今まで観た事のある演技の中では間違いなく上位。


…と、まぁ細かく書いたらキリが無いのだが、監督の手綱の扱いが上手なのだろう。

しっかりと結果は出ていると言って良い気がする。

脇役も概ね良好。
というかノイズが無い。

個人の感想として映画版とドラマ版の配役どっちが好きか?みたいな比べ方は出来るが、「コッチのアイツはダメ」という方向で見えて来る事は無かった。




全6話、ストーリー展開しっかり抑揚がありつつも前のめりになって一気に観れるパワーがある。

地上波では無理だからこそ、コレからも こういう骨太な作品が出て来る事を期待したい。

素直に面白くブチ上がって観る事が出来ましたよ。



最後に一言。

多田智也 役の《田中哲司 続投》は文句ナシの一本!