Aix

ザ・ホーンティング・オブ・ブライマナーのAixのレビュー・感想・評価

3.8
ドクタースリープやアッシャー家の崩壊など知られるマイクフラナガンが監督したホーンティングシリーズのシーズン2。両親を亡くした子供たちの家庭教師になる女の話。

マイクフラナガンらしい悲しくて切ないゴシックロマンスでした。ヒルハウスに続いて役者の演技は素晴らしいし、撮影や編集もクオリティが高かったです。今作は後半からは去年マリエンバードでのような、複雑な記憶の物語にシフトチェンジして、個人的にはそれが今作のハイライトの一つだったと思います。

また、意外にも今作はオリジナル映画の回転へのオマージュが多く(例えばフローラの口ずさんでいる曲がオリジナルと同じ)、愛が感じられて良かったです。ただその一方で、今作はあの映画に対してある種のアンサーをもたらし、ダニクレイトン(ミスギデンズ)というヒロインを救済しているようにも見えました。もしかするとマイクフラナガンは、回転、及び原作小説のねじの回転の結末に納得出来ていなかったのかもしれません。ホラーではなく、恋愛としての解釈を新たに用意したのはさすがだったと思いますが、ラスト2話の展開が少し雑だったし、全体的にナレーションを含めてもあざとくて臭い台詞回しが多くて、ヒルハウスに比べるとレベルが落ちている感じがしました。特にレベッカとピーター、フローラとマイルズのストーリーが結果的に傍に追いやられていたのが否めません。マイクフラナガンが監督している回が半分以上あって、もう少し構成を見直していれば、ラストはもっと感動したんじゃないかなと思いました。

マイナス意見も色々書いたけど、原作やオリジナルの映画に新しい解釈を加えていたのは良かったし、これはこれで面白かったです。ホーティングシリーズのシーズン3は作られないようですが、マイクフラナガンの新作には今から期待を寄せています。
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