かず

真夜中のミサのかずのネタバレレビュー・内容・結末

真夜中のミサ(2021年製作のドラマ)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

なによりも、映え映えの美しい撮影と、計算された構図がとにかく素晴らしい。
物語の内容に関係なく、ここまで撮影が素晴らしいと観続けてしまう。

フラナガン監督の最高傑作では?本作が隙がなく素晴らしすぎて、今後の作品のクオリティが心配になるレベル。


事実を都合よく曲解する隔絶された離島のコミュニティは、フィルターバブルとエコーチェンバーの暗喩だろうか。

側から見れば、あらゆる出来事を聖書や黙示録を曲解し自分たちに都合よく解釈する狂信者たちは大変恐ろしいが、彼ら彼女らからすれば自分たちは神のご意志により選ばれ祝福された存在だ。

異なる考えを頭ごなしに否定し排除するようになると、そのコミュニティは狂信的集団になる。それらから逃れられない者たちの成れの果ての姿は、思考停止しフラフラと餌に群がるゾンビそのものだ。

そういう意味で、SNSの危険性をも描いているように感じた。


セカンドチャンスという赦しを与えることこそ神の御技である。
フラナガン監督の過去作にも通じる、過ちを犯してしまった者や死者への優しい眼差しが素晴らしい。


自己=selfは、世界から独立した存在ではない。人体を構成する原子も電子も、元は宇宙に存在する。私は今この瞬間にこの空間に振動するエネルギーであり、この世界(宇宙)と接続している。
このような世界こそが神であり、私たちは世界=神とは不可分だ。

世界から独立したと思い込んでいた自己が宇宙=神と一体化し不可分になる最後のモノローグの余韻が凄まじい。

・フィルターバブルとエコーチェンバー
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r01/html/nd114210.html
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