めかぶおじさん

クイーンズ・ギャンビットのめかぶおじさんのネタバレレビュー・内容・結末

クイーンズ・ギャンビット(2020年製作のドラマ)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

 ベスはチェスやさまざまな人間と運命的な出会いをしましたよね。シャイベルさんに出会わなかったらチェスを知らないまま生きていましたよね。またジョリーンと出会わなければ、いいわるいは別としてクスリの変わった使い方もしらなかったですよね(笑)。孤児院でこの2人に出会わなければ確実に別の人生を歩んでいたわけです。

 そしてライバルたちとの出会い。タウンズ、ベルティック、ワッツらと出会わなかったらボルゴフは倒せてなかったかもしれません。話を何でも聞いてくれた義母は義父と夫婦仲が悪かったから気を紛らわすためにベスを養子にした感じですよね。
 私は個人的にこの義母との関係性が好きでした。本当の親子ではないからこそ、ひとりの女性として人生には楽しいことがたくさんあることをベスに伝えようとしていたと感じました。それだけに突然の死のシーンはショックでした。

 またこれは一つの見方ですが、ボルゴフこそベスが成長していく過程を目撃した一番の人物と言えるでしょう。初戦では「まぁこんなものか」と見下し、2回目のパリでも「遅刻するとはなにごとか。やはりただの小娘か」と内心バカにしていたはずです。しかし、モスクワでは並いるロシアの強敵を倒して決勝まで上り詰めてきました。そして、ボルゴフの作戦かなんだかよくわからないタイミングでの中断も、「このままではマズイ。仲間と検討するぜ(汗)」という雰囲気が漂っていたように感じられました。

 ベスの人生は決して平坦なものではありませんでした。様々な困難と挫折を乗り越え、彼女は頂点へとたどり着きましたよね。酒やクスリの誘惑に勝ち大切な仲間をみつけたベスの生き方は、記憶にしかでてこない孤独だった実母に対しての回答だと感じました。