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クイーンズ・ギャンビットのkoheiのレビュー・感想・評価

クイーンズ・ギャンビット(2020年製作のドラマ)
4.4
どんどんどんどんまるでアクション映画かスパイ映画を観ているような激しい劇伴が物語を覆っていくことに気づいてからは、このドラマが“アクション”→リアクションの反復によって成り立っていることに注意深くなった。チェスというのはまさしくその要素を最大限に司る媒体にほかならない。予定調和のない駒の運動には、リアクションが途絶える未来が運命づけられている。死を選んだ母親の真意、憂いに満ちていた義母、初めて愛した人に受けた痛み。このドラマにはいくつか宙ぶらりんにされる問題があり、そのリアクションなき現状への苦しみが主人公をどん底に突き落としていく。そんな彼女に対して、アクションを止めない多彩なキャラクターたち。それに励まされながら、負けを恐れながらも最強の敵に立ち向かう勇姿。リアクション=アクションができないということがイコール負けになる世界で、それでも立ち向かっていく彼女の強さ。こういうアクション映画があってもいい(映画ではないが)。
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