Maririri

クイーンズ・ギャンビットのMariririのレビュー・感想・評価

クイーンズ・ギャンビット(2020年製作のドラマ)
4.5
孤児院で暮らすベスは、地下の用務員室で見慣れない物を見つける。強烈に惹かれるが用務員のシャイベルは頑なに教えてはくれない。ならばと隙をみては盤面を暗記し、天井にそれを空想再現する。

1960年代の冷戦下のアメリカで、孤児の少女がチェスの類まれな天賦を発揮し世界チャンピオンになるまでを描いた作品。

私は隅々まで美しいものが好きだし、人の闇が丁寧に描かれているのもまた然り。

全6話の短い作品ながら、チェスの天才は9歳でジャンキー、大人になれば瞬く間にアル中になる。そんな虚ろな精神状態でも髪をセットし、自分が好きな服を着る。きらびやかなホテルに泊まり、男遊びも嗜む。天才と狂気は表裏というけれど、狭間を曖昧にぼやかしながら抜けきらない不安定さと、チェスの強さが比例してるのも人間くさくてよかった。

Netflixは視聴料で、常に莫大な制作費を抱えているから何でもできる稀有なエンターテインメント媒体だという。

この作品もご多分にもれず、壁紙からカーテン、ネグリジェ、壁の絵から、登場人物すべてのお洋服まで細かい製作の拘りがつまってる。

ものづくりに妥協しない人たちの拘りの数々は、役者の演技をさらに際立たせる大きな要素だ。
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