すず

ボーイズ・ドント・クライのすずのレビュー・感想・評価

ボーイズ・ドント・クライ(1999年製作の映画)
3.5
自分らしく生きる事が許されない絶望感。

ヒラリー・スワンクは大好きな女優さん。
強めの美人さんで、彼女が演じる役ってどれも魅力的。
そんな彼女が今作で演じたのは、性同一性障害の役。
きっとものすごく苦労して役作りしたんだろうな、見た目も中身も。
顔の骨っぽさとか、ちょっとした仕草が完全に男性だった!

性同一性障害である事を隠して、地元から遠く離れた場所に身を置いたブランドン。
そこでラナという女性と出会い、恋に落ちる。
ラナの周りは曲者揃いで、その中でもジョンという男がどうしようもないクズ。
ラナの母親の恋人なのか?イマイチ立場が分からないんだけど、多分ラナに好意を抱いている。
自制心がなくて、本能のままに生きている正真正銘のクズ!
この男さえいなければ!って何度も思った。
自分が女だって事を隠していた負い目もあって、何をされても「自分が悪い」と耐え続けるブランドン。
男に襲われる事がどれだけ屈辱的で、どれだけ辛かった事か。

今でこそLGBTという言葉があるけれど、ちょっと前まではそういう人達って好奇の目に晒されていた。
もしかしたら今も変わらないかもしれない。
久々に会った知り合いが、知らない間に男性になっていたって経験をした事がある。
正直始めは戸惑ったし、昔のあだ名で呼んでいいのか悩んだりした。
その時の動揺って、きっと相手に伝わってしまっていたと思う。
どんな接し方が正解だったのか分からないし、正解があるのかどうかも分からない。
変に気遣われても、きっと居心地悪いんだろうな。
性的な悩みに他人がとやかく言うものではない。
敢えてその事について触れたり気遣ったりせず、自然体で触れ合えたらいいなと思う。
性別なんて関係ない、友達は友達なんだから。
すず

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