トッシー

母性のトッシーのレビュー・感想・評価

母性(2022年製作の映画)
3.0
湊かなえの原作は未読。



うーん。
言いたい事は分かるのよ。

「家族」、
特に「親子」のあり方と
それについての考え方
…って言うのは
絶対的不可侵の神聖な領域から

そろそろ、どっか違う所に
変遷していくんじゃないかと
思ったりするんですよ。

「夫婦」とか「組織」の
あり方がそうであったように…

そりゃ、
親は子供を愛して
子供は天使!!!
…ってのは理想ですよ。

でも、理想と現実は
違ったりするじゃないですか。

そしたら、
理想から離れ過ぎた現実を
救済するためには

「親子」に対する
僕らや社会の認識は
どこかで、変わらざるをえない…
変わっておいた方が良い…

そんな気がするんですよね。


だからこの映画のテーマは
非常に今っぽいし
興味深くもあるんです。



ただ、


映画として
全然面白くないよ。

これ。



『羅生門』とか
『最後の決闘裁判』的に
1つの事実を多面的に描く
アプローチを
やるんじゃなかったんか?

全然そうなってない。
ほぼ、1本調子のストーリー。

登場人物を魅力的にも
描けていない。

そこはあえてかもしらんけど
どの登場人物も
ストーリーと同じく1本調子で
あんまり好きになれないんよね。

もうちょっとこれ
何とかならなかったんか?

テーマは良いし
原作は湊かなえ。

結構期待してたのになあ。

非常に辛い映画でしたね。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★
この先ちょっとネタバレで
さらに文句を言いたいのです
本当に文句しか言わないので
映画を未見の方と
この映画が好きな方はご注意を
そしてお許しを
★★★★★★★★★★★★★★★★★★





































とは言え、もはやネタバレでも
なんでもないと思うけど

自殺した永野芽郁が
死なずに生きて
成長して教師になっとる姿を

ほぼ初っ端から見せるのは
どういう了見だったのだろうか?

原作読んでないんで
これは推測ですが
映像のない
文章だけの小説なら

最後の最後
戸田恵梨香が
自殺未遂した娘の
名前を初めて呼ぶシーンで

この娘と、
もう1つの視点の
主人公である教師が
同じ人物だったと繋がって

「あっ、この2人、
同一人物やったんや!
なるほど、いままでの発言とか
思い返すと、確かに!
そう言えばそうやね!

なるほど、娘は死なないのか!
……うーん叙述トリック!!!」

…ってなると思うんですよ。

そしてそこが
この物語の
ミステリーとしての
面白さの要だと思うんですよ。



原作小説は
その辺どうなってんのかな?

多分、そんな風に
最後に繋がる構成に
なってるんちゃうん?
湊かなえやし。

そりゃ、確かに映像作品で
このトリックやるのは
難しいですよ。

でもこの映画はそこを
最初から完全に諦めてる。

ある種
清々しくはあるけども

何の工夫もせず
ミステリーとしての
この物語の面白さを

フルスイングで
放棄しとるんですよ。

しかも、その後の調整とか、
新たな面白さの追加とかも
ほとんどせずに
面白さの要だけを抹消して
そのまま映画化しました
…みたいなノリとちゃう?

もし、本当に原作を
改変してこうなったのなら
相当、罪深い映画だと思います。

つまり、観客を
楽しませようとする気概が
この映画からは
全く感じられねえんですよ。

これはあかん。
あかんよ。

本当に映画としては
とてつもなくつまらないです。

何回も書くけど
語りたいテーマは良いと思う。

思想や哲学や社会問題を
語る映画は好きだし

そう言う要素も
必要だと思うけど

何よりも映画は
「大衆の娯楽」で
あってほしいですよ。

「エンターテインメント」で
あってほしい。

例えその娯楽性が
世間一般から
大きく外れていようとも

「俺達の面白いをくらえ!!!」
…って制作側の気概が
溢れている映画が

僕は好きだ!!!

2022-60
トッシー

トッシー