mさん

アダム&アダムのmさんのネタバレレビュー・内容・結末

アダム&アダム(2022年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

タイムトラベルでしかできない人間の成長を描いて、アクションも最高に楽しくて、会話シーンもレイノルズの早口な感じが面白くて飽きないし、
90分台でこの満足度は驚きしかない。2時間くらいかと思ってた。

まずアクションはめちゃめちゃ良い。
森の中のスカイボードとかライトセイバーとかスターウォーズが好きなんだなって凄く思ったけど、オリジナリティある武器になってたし、アクションは凄い好きだった。肉弾戦じゃなくてガジェット系のアクションは久々だったのでそれもよかったのかも。

アダムのキャラが凄い好き。常に引いた目線で皮肉めいたことを言ったり、ブラックジョークを言うような鼻につくキャラなんだけど、子供のアダムはそのキャラがたまに出る本心の言葉とかハグとかの愛情表現をすごい強調させてくれてよかったし、大人のアダムは未来の世界からやってきたという大きな設定を面白おかしく説明してくれる。ターミネーターの100倍やばいとか、バックトゥ・ザ・フューチャーの見過ぎとか映画のネタをメタ的に例に挙げて説明するんだけど、このアダムの早口でジョークを言うキャラなら許されるし合ってると思う。さらに凄く面白く感じて、観客が設定の説明のように感じさせない。だからこのキャラクターは凄くあってたと思う。90分の最短距離で描くことに一役買ってるとも思う。


あとアダムのドラマが凄いよかった。タイムトラベルでしかできない成長が描かれてて。
まず子供のアダムは思春期真っ只中で母親に愛情表現ができない。それを未来のアダムが母親を大事にしろと言うからこそ、自分の言葉だからこそ響く。そしてラストのハグにつながる。これはタイムトラベルならでは。
そして大人のアダムは父親との記憶に蓋をして冷たかった父親という像を作って嫌っていた。だけど純粋な子供のアダムはリアルで確かな父とキャッチボールした記憶を大人のアダムに伝える。記憶は時がたつにつれてあやふやになり、都合よく解釈される。しかしその時を経ていない自分が大人の自分に純粋な記憶の話をするのでアダムは父親への態度を改める。これも記憶という点においてタイムトラベルでしかできない成長ドラマだと思った。

凄く新鮮に感じたのが、バリバリ大人のアダムが子供のアダムと行動を共にしてる部分。タイムトラベルものではよく過去の自分とは干渉してはいけないというしがらみがあるから。でも本作は完璧に無視してる。それが潔いし新鮮だし、だからこそ今までにない人間ドラマが描けるんだから大正解だったと思う。

ここからは不満点
子供アダムが喧嘩をして負けてしまうというシーンがあったが、そこの回収がされてない気がした。結局ライトセーバーを手にしてもぶん殴られて、ドローンを手にしても見つかってしまうし、子供アダムが「立ち向かって、勝つ」描写が後半で欲しかったなと思う。それかラストの母親とのハグの後に登校シーンを入れてあのいじめっ子とのやりとりを入れるとかして欲しかった。

あと大人アダムがバーで母さんが悲しいままでいい、完璧じゃなくていいという部分が結局フィックスタイム調和の結果なかったことになってしまったので残念だった。あのシーンはあくまで大人アダムのキャラクターを説明するためのシーンとしてあったのかもしれないがだとしたらあまりにもお母さんのキャラが立ちすぎな気がした。

ただ90分台の満足感としては最高だった。
mさん

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